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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 42
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でアリア信仰へ勧誘してくださった神父様は、口を揃えて「私が選んだ」と仰いました。
 ええ……まぁね。確かに、教会への出入り自由化を果たす目的で内部抗争に協力、結果的に入信するとは言いましたよ。(一応)そこは(嫌々だけど)認めましょう。でもね。
 私は。
 一言も。
 主導者(えらいひと)になる、とまでは言ってません!
 もうね。短い間にいろいろ有り過ぎて脳内処理とか全然追い付かないし、口が開きっ放しでアホ面全開になるのも仕方ないですよね?
 ……ね?

 「あのぉ……どうして今、そういう話になるのか、私には理解不能なんですが。大司教を選定する権限だか何だか知りませんけど、先日渋々入信したばかりで一般信徒の常識教育課程すらまともに熟してない似非修行徒が、中間管理職をも数段スッ飛ばしていきなりお国代表な高位聖職者の後継ぎって……人事とか他の信徒達への心証面で問題あるんじゃ」
 「んで、アーレスト。あいつらのほうはどんな感じだ?」
 「軍も暗殺者達も、隊を分けて行動しているようです。軍側は、大森林の入口で貴方が残して来た隊と合流。その場で数人を見張りに立て、主力となる両国混合四隊が扇の輪郭をなぞる形で暗殺側五隊を追走。此方へ向かって来る隊はミートリッテさんを追って来た第三騎士団の方々がどうにか気を逸らし続けていましたが、暗殺隊の誘導によって全隊が集結しつつある為、人数差でやや圧され気味。バーデル軍に同行する自警団員の誤魔化しも、貴方の予想通りそろそろ限界を超えるでしょう。人目に付かない移動を考えると、本当にギリギリですね」
 「無視!? 此処に来て無視なの!? てか、直に見て来たような具体的すぎる展開を話す神父様! 貴方の目や耳は一体どうなってるの!? いや、私も其処ら辺の異常さに期待してたんですけどね!?」
 「私とあいつで時間を稼いでも、全部を隠し通すのは難しい……か」
 「あの! もしもし!?」
 「バーデル軍も、自国の情報を私達に渡すまいと必死ですから。世間体が悪いので「暗殺組織」との関係は否定するでしょうが、騒動の首謀者を確認するまでは引き下がらないと思いますよ」
 「聞いてますーっ!?」
 「何年も前の死者に出て来いとは言えないだろ。あちらさんをネアウィック村に誘導して来た奴が一人でも残ってりゃ良いんだが……判るか?」
 「軍人の顔を少しでも覗かせれば。ですが、この暗闇です。暗殺者を捕らえている方々への負担が計り知れませんし、昼間ならともかく現状ではお奨めしかねます」
 「だよなぁ。夜と闇、群衆と喧噪は裏の縄張りだ。幾ら騎士団の連中が鍛えてるっつっても、不慣れな環境で下手な動きをさせれば逃げられる確率も当然高まる。……仕方ない。とりあえず、安全第一で行くか」
 「……。」
 駄目だ。
 男二人は互いの顔を見上げ
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