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歌集「春雪花」
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 月影の

  かたぶく里の

    夜もすがら

 雪は降らねど

    淋しさぞ降り



 淡い月明かりが山影へと消え行こうとしている…。

 見上げれば…空にはさして雲もなく、無数の星々が語らうように瞬いている…。

 久方ぶりの星空…だが、ずっと彼のことを考え続けて…美しい星空にさえ虚しく溜め息を零してしまう…。


 まるで…雪の降らない代わりに、淋しさが降り頻っているかのようだ…。



 相容れぬ

  わが身ぞ侘し

    世も暮れて

 日に老いにしも

    想い変わらじ



 私と言う人間は…すべからくこの世界には合わないのではないか…。

 そう考えると、自分がなんともみすぼらしく思え…世界さえ黄昏て見えてしまう…。

 日に日に老いてゆくだけの身を呪えども…彼への想いはいつまでも変わらず…。


 今はただ…想うだけしかないのだ…。




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