第75話 不測
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とが出来ないとされる。
それほど曖昧で軸が無くて、自分勝手な生き方をしているのが人間だ
食蜂は一頻り狂ったように感情を歪ませて笑いだす。
防音効果のある部屋で何倍も何十倍も笑い狂った声がこだまして嘲笑う。
良いじゃない
やってやるわよぉ
やってあげるわよぉ
馬鹿で愚かで自分勝手な人間の為の人間による人間の支配をしてあげるわよぉ!
彼女の能力はその日を境にして化け物クラスへと変貌していく。
繊細な心は砕け散り、闇が深まれば深まる程に能力の力は増し、手がつけられなくなる。
ララのように......
******
ヤレヤレ今度は食蜂君に不具合発生か
随分塞ぎ込んでいるようですな
あんな子にも人の情があったのねぇ
ララがクローン人間であると理解出来れば吹っ切れるのでは?
人の心に干渉できる能力が仇になって彼女の証言には証拠能力が無いですし
物証になりそうな物は上に持っていかれましたから話しても構わないかと
ララがだだの造りものとわかれば、わだかまりも解けるでしょう
フム......まあ
今のような状態が続くようであれば考慮するとしよう
『エクステリア計画」は上から押し付けられた目的すら定かでない人形遊びとは違う
我々『影月読(クローンマダラ)』の悲願の結晶だからね
でもどうします?
食蜂操祈がこのまま成長していけば、いつかメンタルガードでは防ぎきれなくなる日が来ますよ
そうなると計画の真意を隠し通すのは難しいかと
フン、別に大した問題ではない
「あらぁ、それはどうしてかしらぁ?」
中央会議室で行われているカンファレンスで話される食蜂の処遇についての議論。
そこの長官席に食蜂がリモコンを片手にさも滑稽な喜劇でも観戦するかのように座っていた。
まるで居ないかのように
視えていないかのように
投げ掛けられた質問にだけ素直に答えていく研究者。
エクステリアが完成してしまえばあんな小娘は用済み
機を見て処分すればいいだけのことだ
上手くいけば『影十尾』なるものの素晴らしい頭脳になり、我々は神に等しい存在となるのだからな
ではこれで定例報告会議を終了します
おつかれさまでした
ぞろぞろと足並みを揃えて軍隊のように出入り口に向かう研究者のメンバーの瞳は星が宿ったかのように燻んでいた。
「ま、こんなことだろうと思ってたわぁ」
リモコンの『停止』ボタンを押して静かに心の干渉を解いた食蜂は大人用の椅子から飛び降りると無人の会議室を軽く睨みつけた。
ここでララの死を話していたのかしらねぇ
人形だから大丈夫だ
造られた命だから好きに粗末に扱って良い
誰かのコピーだから居場所を削り取り、意のままに操る
だけど彼は生きていた
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