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虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 −求めたのは力では無く−
Act2 仮想世界
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今日此処に来てんのよ!」

 何かの嫌がらせなのかと、ムキーッと憤慨していた私に恐る恐る側近の一人が聞いて来た。

 「やっぱり助けてくれたのはネームレス特務顧問殿ですか?」
 「そうでしょうね!」
 「――――と、と言う事は、帰ったら迂闊に抜け出したお説教が待っているんでしょうか?」
 「「!!?」」

 もう一人の側近の恐怖に引き攣った言葉に、私は別の側近と揃って顔を見合わせて恐怖した。

 「「「って、何々!!?」」」

 突然私達に一番近い木のオブジェクトに一本の矢が突き刺さった音に過剰反応してしまう。
 恐る恐るその矢を見ると、紙が巻き付けてあったので開くと――――。

 『早く戻って来いアリシャ・ルー。そこからなら飛べば十分で帰還できるはずだ。遅れた場合、一秒ごとに・・・・・・・・・・・・増える。byネームレス』
 「「「何がっ!!?」」」

 一番知りたい箇所が書かれてないのが余計に恐ろしいが、遅れれば遅れるだけ自分達が損するだけだと理解した私たち三人は、嘗てない程に我先にと帰還に急ぐのだった。


 −Interlude−


 「ふーっ」
 「お疲れ様です、教官!」

 ケットシー領主の執務室から溜息をつくと同時に退出したサラマンダー似のケットシーのネームレスを待っていたのは、彼を慕うケットシーの領民プレイヤー達と、今回この仮想世界の中をエスコートする予定で連れて来たサクラが待っていた。
 因みに、アリシャ・ルーと他2人は、ネームレスの説教でのびている。

 「すみませんサクラさん。案内する筈がこんな事に巻き込んでしまって」
 「いいんですよ。ネーム君は忙しいのですから。それに他の方が親切にしてくれましたので、特に不便には思いませんでしたよ?」
 「ありがとうございます。フカヒレにキャビアもありがとな」

 ネームレスのお礼に、フカヒレとキャビアと呼ばれた2人のケットシーは、敬礼しながら答える。

 「いえ、教官のお知合いですから!」
 「教官のご友人の案内が出来て、光栄であります!」

 まるで軍隊の中の部下と上官のやり取りのような会話に、ネームレスは天を仰ぐ。

 「デスマス口調は要らないと言ってるだろ?あと教官呼ばわりは止せと何度言えば・・・・」
 「「すみません特務顧問官閣下ッ!!」」
 「――――もう、教官でいい・・・」

 さらに呼ばれ方がグレードアップした事に、ネームレスは諦めることにしたようです。
 それはそれとして――――。

 「――――所で、ネーム君と言うのは渾名ですか?」
 「はい。呼びやすいと思って考えたんですけど・・・・・・駄目ですか?」
 「いえいえ、サクラさんの好きな呼び方で結構です」
 「でしたらネーム君
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