暁 〜小説投稿サイト〜
虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 −求めたのは力では無く−
Act2 仮想世界
[5/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
教官のはレアアバターなんだよ!」
 「すみません教官、この2人はまだ新人でして」
 「教官・・・?」

 ネームレスが教官呼ばわりされていることに、頭を傾げるサクラ。

 「いえ、忘れて下さい。――――それよりも、高みの塔は誰も使っていないのか?」

 4人の話に全く関心を示さないネームレスは、自分のするべきことを優先するべく動きます。

 「あっ、はい!今確認します!」
 「いや、自分で確認してくるから、彼女を任せる」

 対応するケットシーの返答も聞かずに、ネームレスはケットシーの特性の脚力と俊敏性を生かし、アミュスフィアから伝達される自分の肉体のスペックに身に着けた歩法で、一瞬でその場から高みの塔の最上階まで移動した。

 「うぇ!?きょ、教官!?何時の間に此処へ!いや久しぶりに」

 高みの塔の監視役のケットシーは、突如目の前に現れたネームレスに驚きつつ、どもる。
 ただ、どうやって此処にとは聞かなかったので、如何やらこのケットシーはネームレスの非常識性には慣れている様です。

 「挨拶はまた後でな」

 監視役のケットシーにそれだけ言うと、ネームレスは黒い洋弓を構えて矢を番える。
 ここで少し話が逸れるが、VRMMORPGにはチートや裏技を防ぐためにカーディナルシステムが備わっています。
 だからこれからネームレスの起こす行動はチートや裏技の類ではなく、製作者側も予想していなかった幾つもの偶然が重なった結果です。

 「まず1人」

 ネームレスが二本の矢を連続で放つ。
 ネームレスはケットシーだが、そのアバターを操る士郎自身が鍛冶師でもあるため、レプラコーンでもないのに武器を作れます。

 「二、三」

 ネームレスが二本の矢を連続で二回放つ。
 此処で偶然の一つだが、士郎は只の鍛冶師では無く、それこそ国宝クラスの職人芸を極めた鍛冶師(本人にその自覚は無い)でもあるのです。
 さらには武器の素材となる材料は、現実とは比較にならないほど分かりやすい程です。
 そんなものを巨匠レベルの士郎が見れば、現実で調べられている攻略法などにも載っていない合成具合で、最高の武器を作れます。
 それこそ、弓矢を10キロ以上先まで飛ばせる弓なども。
 これこそ製作者側の予想外の一つで、まさか巨匠クラスの人がVRMMORPGをプレイするなど夢にも思わなかったからなのです。

 「四、五、六――――」

 ネームレスが次々に弓矢を遠くへ射って行く。
 しかしどれだけ規格外級の射程のある弓を作れようと、相応の使い手で無ければ宝の持ち腐れとなるのですが、此処でもう一つの偶然があります。
 それが士郎の弓兵として視力と呪い級の腕です。
 士郎の視力は昔は二キロまで見えていたが、今では十キ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ