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虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 −求めたのは力では無く−
Act2 仮想世界
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ら案内する事も出来るかと」
 「ならお言葉に甘えて―――――って、士郎君、確か例の件が大詰めじゃなかったかしら?」
 「それならご心配なく、すでに臨床試験中ですよ。それも結果は上々の様です」
 「すごいじゃない。これが成功すれば、世界中で病に苦しんでいる多くの人達を救えるでしょ――――浮かない顔だけど他に問題が?」

 ギルの奥さんの指摘通り、士郎は言葉とは裏腹に何とも言えない様な顔をしていた。

 「いえ、なんでもありませんよ。それより、早く行きましょう」

 だが、友人の奥方にこれ以上余計な心労を掛けさせまいと、直に笑顔に切り替えて誤魔化すのでした。
 それから彼女を案内するために先に士郎がログインし、初心者が初めてログインする召喚陣の近くで待機する事10分。

 「――――ここが仮想世界。ゲームの世界なんて・・・」

 彼女のいる場所は、ALOにて九つある陣営の中の一つの猫妖精族(ケットシー)領です。
 いかにも猫が好きそうな住処を人が住めるように改装を施した街並みに、ケットシーの特性の一つであるビーストテイマーの力を活用するためにモンスターたちを飼育管理する区画も遠くに見えていた。
 そこへ、あるケットシーが1人近づいて来た。

 「ようこそ、ケットシー領に」
 「・・・・・・もしかして、士郎君?」
 「やっぱり分かります?」
 「だって、猫耳と尻尾と服装以外士郎君そのままじゃない」

 ギルの奥さんの言う通り、士郎が操っているALOでのアバターのケットシーはほぼ9割弱士郎そのままである。

 「確かケットシーは背が低いのが特徴では無かったかしら?」

 彼女の目の前にいる士郎のアバターは、明らかに現実の士郎とほぼ同じく身長が190以上あるのでした。

 「如何やらレアアバターらしくて・・・」
 「赤い髪はサラマンダー特有では無かったかしら?」
 「それもレアアバターの恩恵らしいんですよ」
 「現実でもゲームの世界でも士郎君は何でも有りなのね」
 「ネームレスですよ」
 「え?」
 「俺のこっちでのプレイヤー名です。現実での個人情報が割れないように、極力実名は控える様にと説明文に記載されていたでしょう?」
 「ええ、だから私は一番好きな花であるスイセンカにしようとしたら、既に別の人が登録していたよらしいのよ。以前やっていたMMORPGでもスイセンカだったから残念だわ」

 オンラインゲームではよくある事でしょう。

 「だから二番目に好きなサクラにしたから、こちらではサクラと呼んでね?」
 「―――――――――」

 士郎は今、何とも言えぬ心情だった。
 ギルの奥さんである彼女は、自分の本当の世界で先輩と呼び慕ってくれていた可愛い後輩の面影を昔から今もあるのだが
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