第一章 天下統一編
第十三話 人質
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俺は石田三成から支援を受けることにした。大量の硝石・炭・硫黄・鉄砲を荷駄隊が運び出していた。
「藤四朗、こんなに鉄砲と玉薬の材料をどうするのだ。お前も随分と大量に持っているだろ」
石田三成は俺に不思議そうに聞いていた。石田三成の言う通りだ。俺の軍は火力に偏った編成だ。だが、韮山城を落とすために火薬が必要になる。
俺は荷駄隊を見ながら口角を上げた。
「三成様、私は韮山城を落とします。そのために必要なものです」
石田三成は笑みを浮かべた。彼の俺に対する態度が秀吉との密談以来から柔らかく感じられるようなった。
「思わせぶりだな。吉報を小田原で待っているぞ」
石田三成は腕組みをして目を瞑り小さく笑った。この空気は何なんだ。石田三成と大谷吉継との言葉の掛け合いのようだ。俺と石田三成との親友フラグが立ってしまったのだろうか。俺の背筋に寒気が走った。俺は咄嗟に首筋に指を当て確認するようになぞる。三条河原に晒される俺の生首を想像してしまった。
ないない。
俺は頭を振り縁起もない考えを振り払った。
「三成様は関白殿下とご一緒に向かわれるのですか?」
石田三成は深く頷いた。
伊豆国の北条勢が豊臣本軍と正面から戦う訳がない。伊豆国の要衝にある城に兵を送るだけで後顧の憂い無く兵を北条の本拠地である小田原城に兵を進めることが可能なはずだ。
「私は関白殿下に側にいることが仕事だからな」
石田三成は真面目な雰囲気で俺に答えた。本当に彼は秀吉の忠臣だと思う。権力に固執しているのかも知れないが秀吉への忠誠心は本当だと思う。秀吉が生え抜きの家臣達の中で石田三成を内政で重用した理由はここにあるのかもしれない。少々性格に問題があるが打ち解けた相手にはこんなに友好的になるんだな。京で接した石田三成とは別人のようだ。でも、どちらも石田三成なのだろう。京に帰ればまた石田三成に馬車馬のように扱き使われるに違いない。
「三成様、吉報をお待ちください。関白殿下のご期待に必ず応えてみせます」
「待っているぞ」
石田三成は期待するような目で俺を見た。彼は俺のことを疑っていない様子だ。
「三成様は私が韮山城を落とせると信じているのですか?」
「私は戦は苦手だが、お前が大口を語るような者でないかくらいは分かるつもりだ。お前が韮山城を落とせるというなら落とせるのだろう」
石田三成は笑顔で答えた。ここまで俺の言葉を信じているとは思わなかった。俺の容姿から偏見で俺の能力を疑う豊臣軍の武将達もいると思う。
俺は石田三成の反応に感動してしまった。
「三成様、小田原で再会しましょう」
俺はついつい手を差し出した。石田三成は不思議そうな表情で差し出した俺の手を見た。そこで俺は「しまった」と心の中
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