第一章 天下統一編
第十三話 人質
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俺のような十二歳でも女郎を買うもなのか?」
「それは人それぞれでございしょう。人によっては早熟な御仁もいますからな」
曽根昌世は歯切れの悪い言い方で答えた。他人から奇妙なことと思われないなら問題ない。
風魔も目につくことは避けたいだろう。
よく考えれば風魔も忍びを生業にする者達だ。その辺に抜かりは無いだろう。
「又右衛門、女は一人か?」
「いいえ。他に男女二人います」
「俺の部屋に通しておけ。直ぐに俺と長門守が向かう」
俺が柳生宗矩に指示を出すと、柳生宗矩は立ち去ろうとする。
「又右衛門、待ってくれ」
俺は柳生宗矩を呼び止めた。
「又右衛門、飯を風魔の者達に振る舞ってやれ」
「かしこまりました」
柳生宗矩は俺に頭を下げ立ち去った。
「長門守、先に行っていてくれ。これを片付けてしまう」
俺は藤林正保に声をかけ飯を急いで食べ始めた。藤林正保は俺に頷き部屋を出て行った。俺は横目でそれを確認しながら飯をいそいそと食べる。
俺は食事を終えると風魔が待つ部屋に向かった。
俺が警護役の柳生宗章を連れて風魔が待つ部屋に入ると、藤林正保と風魔三人が座って俺を待っていた。風魔三人は俺が用意させた食事を既に食べて終わっていた。忍びの者は早食いなのだろうかと思った。俺が飯を食うのが遅いのかもしれない。
風魔三人は俺が部屋に入るなり床に両手をつき平伏した。
「面を上げよ」
俺が上座に座ると左側に藤林正保、右側に柳生宗章が据わった。柳生宗章は手の届く場所に刀を置いていた。
「小出相模守様。風魔小太郎が三女、夏と申します。後ろに控えるは雪、玄馬」
藤林正保が風魔三人に声をかけると一番前の若い女が面を下げて俺に挨拶してきた。夏と名乗った女は目鼻立ちはくっきりとしていて、肌はよく日焼けして健康的な小麦美人だ。彼女の後ろにいる二人からは危険な空気が漂っていた。柳生宗章は触れるか触れない程度に刀に手を添えていた。何かあれば柳生宗章は二人を斬り殺すつもりだろう。
俺のような戦場の素人に危険視されるようでは風魔の実力を不安に感じてしまった。
「雪。玄馬」
夏は後ろを振り向かず雪と玄馬に固い声で呼びかけた。その声で二人から危険な雰囲気を感じなくなった。この遣り取りから夏と二人の間には主従関係があると理解できた。この遣り取りは何を意味するのだろうな。夏に何かあれば二人が俺を殺すと言うことを俺に理解させたいのだろうか。もしそうなら俺に対して無礼過ぎるだろう。俺は風魔への心証を悪くした。
「小出相模守様、共が失礼いたしました」
俺の気持ちを察したか分からないが夏が俺に平伏して謝罪してきた。
「謝れば済むものでは無い
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