第一章 天下統一編
第十三話 人質
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なるのです。金は戦で功績を挙げた者達への褒美として活用されました。勿論武器や兵糧を手に入れるためにも使われました。領民達に回す金などありません」
俺はそれ以上に何も言わなかった。武田信玄が凄く苦労したことだけは分かった。家臣達に領地を大判振る舞いし過ぎると俺も武田信玄のような状況に陥る兼ねない。そう言えば徳川家康も関東移封後の直轄領は百万石を超えたという。この移封で徳川家康は在地領主を先祖伝来の土地から引きはがし、徳川家康を頂点とする統制のとれた徳川家臣団に繋がったのだろう。ここは俺も見習う必要がある。
「上に立つ者は大変なのだな」
「殿は未だ若いです。これからもっとご苦労をなされることでしょう。我らは殿を一丸となってお支えいたします」
藤林正保は笑いながら言った。俺は伊豆国を手に入れた後のことを考えた。伊豆国には土着の勢力がいる。その者達の扱いをどうするかが鍵になる。器量の無い山内一豊のように土佐国の既存勢力を徹底的に虐殺して弾圧するような真似だけはするまい。だが、全ての者達を取り込んでは家臣に分ける土地が無くなる。ある程度の国人には泣いて貰うことになるだろう。大人しく従わないなら根切りすることも覚悟する必要がある。
俺は脳内に巡る悩みを打ち消すように飯をかきこんだ。家老達も俺が悩みが解消したと察したのか思い思いに食事を再会した。俺はさっさと食事を済ませ、城攻めの策を考えようと思った。
韮山城の攻城計画の骨格は大方出来上がっている。韮山城跡には実際に足を運んだことがあるから大体の地形は理解している。その知識を元に一ヶ月かけて策を調整していけばいい。
「殿、面会を求める若い女が参りました」
俺が飯を食べていると、柳生宗矩が現れ座敷の入り口で腰を下ろし俺に頭を下げた。
「こんな時間に誰だ?」
「風間と名乗るっております。藤林長門守様には話を通していると申しておりました」
座敷内にいる者達の目が藤林正保に集まる。
風間だと?
聞いたことがない名前だな。
待てよ。風間? ふうま。ふうま? ふうま!?
俺は驚き目を見開く。
「殿、風魔小太郎の娘が参ったのでしょう」
藤林正保は空の椀を膳に置き俺に声をかけた。
「人質だと。こんな行軍中にやってくるとはどういうことだ。目立つだろうが!」
「行軍中だから良いのでしょう。御陣女郎が陣屋に紛れ込むことはよくあることです」
俺が藤林正保の話に怒ると曽根昌世が俺に説明してきた。御陣女郎。本で読んだことがある。戦場で兵士達を相手にする売春婦のことだ。
「武将も御陣女郎を買うのか?」
「買う者は幾らでもおりましょう」
「そうなのか」
俺は曽根昌世の説明を聞きながら頷いた。
「
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