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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
65部分:会談その二
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会談その二

「ほう。卿等はいつも言ってくれているな。我等をやれ野獣だ、聖戦士の恥さらしだと」
「・・・・・・・・・」
「我等とて生きる為に戦っておるのだ。誰にも批判されるいわれは無い」
 セリスは再び席に着いた。
「ですがそうだからといって他国を侵略し人を欺くのは騎士として恥ずべき行いではないでしょうか。げんにターラでも・・・」
「ターラ?何の事だ?」
 王はとぼけた。セリスは彼を表情を変えずに見たが後ろのオイフェの方へ顔を向けた。
「例の物を」
「はっ」
 オイフェはマーティとダグダに大きな二つの袋を持って来させた。二人は袋を持って来るとそれを逆さにして全て落とした。ゴロゴロと丸い物が落ちて来る。それは人間の生首だった。
「・・・・・・何だそれは?」
 王は眉をピクリとも動かさずそれ等を一瞥した。
「見覚えのある顔も多いと思いますが」
「知らんな。街に忍び込んだ夜盗か何かであろう」
「・・・・・・そうですか。では首の方はこちらで葬っておきます」
「その必要は無い。今その首は我が軍の陣にある。我々が葬らせてもらおう」
「解かりました。それではこれ等の首はそちらにお渡し致しましょう」
 首は再び袋に入れられトラキア側に手渡された。二人は再び会談を始めた。
「セリス公子、それではまた始めるか」
「はい」
「もう一度言う。ターラから退いて頂きたいのだが」
「それは先程もお断りした筈です。ターラは我々が守ります」
「そうか。その言葉、撤回はしないな」
「はい」
「・・・・・・ならば仕方が無い。卿は反乱軍を率い帝国に対し造反を企てている大罪人、ここで成敗して反乱の火を消すとするか」
「!?」
 王は座したまま動かなかった。しかしトラキア軍と解放軍の代表の周りは違った。
 トラキア竜騎士団の将兵達が会談の場を取り囲んでいた。手には剣や槍が握られ眩い光を発している。
「我がトラキア王国はグランベル帝国の同盟国、帝国に反逆する者は討たねばならん。だがターラから退けばわしがアルヴィス皇帝にとりなしても良いのだぞ。どうだ、悪い条件ではあるまい」
 トラバント王は刺々しい光を発してセリスを睨んでいる。それはさながら肉食獣が草食動物を狙う様であった。
「さあターラから退くのだ。そうすれば囲みを解いてやろう」
「セリス様がそう仰った直後に我等を皆殺しにしてからに、ですな」
「何!?」
 声の主はオイフェだった。腕を組み微動だにせず口だけで語った。
「トラバント陛下、貴方様は謀略と奸計で世に知られた御方、これ位の事は考慮に入れておりました」
「どういう事だ!?」
「御自身の軍の周りを御覧下さい。さすればお解り頂けるかと」
「!?」
 王は騎士の一人を偵察に行かせた。彼はすぐに血相を変えて戻ってきた。

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