第3章 リーザス陥落
第95話 戦術的撤退
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……しかし、パットン殿下。いかがなさいますか」
恐る恐ると言った様子で、下士官が声をかけてきた。
「このまま城に引きこもるというのも……、それにモンスターを公然と使役することで市民からも、反感の様なものが……」
クーデターが起きる可能性がある事を示唆していたのだ。魔人もそうだが、今回の様に全面的に魔物を操って攻撃していた事に人道の精神の欠片もないと判断しても不思議ではない。……市民たちは誰一人として ヘルマン側に心を許していないのもあり、積りに積もった不満が爆発する危険性も0ではないのだ。
その危険性を伝えたが、パットンは意に介していない様子。
「ああ、構わん構わん。そんな事はてきとうに処理しておけ」
「は………? い、いえ、しかし………」
ヘルマン側の人数も大分数が減っている。当初までの兵力であれば クーデターの1つや2つ、武力でそのまま鎮圧、押し潰す事も可能だった。だが、魔物の数は揃っていても今は厳しいというのが現状だ。増援も期待できない今では。
だから、不安を伝えようとしていたのだが、パットンは。
「さぁ、次はどうしてやろうか……、そうだ、こうしよう。……ふっふっふ。それしかないなぁ」
何かを閃いた様で自画自賛に浸っていた。
「(もう、他の細かいことなんぞどうでもいい。オレ自身の才覚で敵を叩き潰し、本国の連中をも跪かせてやるのだ) くっ、くふ、うは、うはははははははははは……!!」
愉快そうな野太い笑い声。だが それでも何処か乾いた笑い声……、漸く水を得た魚が心底喜んでいる様な浅めの笑い声が城内に木霊していたのだった。
そして――次なる一手。
それがパットン自身の首を絞める結果になる事はこの時は考えもしなかったのだった。
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