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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ユイの謎
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ほどの急制動をかけ、十字路のギリギリ手前で停止した2人の直前の空間を、ごおおおっと地響きを立てて巨大な黒い影が横切っていた。

黄色いカーソルは、左の通路に飛び込むと10メートルほど移動してから停止した。姿の見えないモンスターがゆっくりと向きを変え、再び突進してくる気配。

俺はユリエールの体を離すと、床に突き刺さった剣を抜き、左の通路に飛び込んでいった。キリトもアスナも慌ててその後を追う。

アスナは呆然と倒れるユリエールを抱え起こし、交差点の向こうへと押しやる。ユイを腕から降ろしてユリエールに預けると、短く叫んだ。

「この子と一緒に安全地帯に退避してください!」

ユリエールが蒼白な顔で頷き、ユイを抱き上げて部屋に向かうのを確認して、キリトとアスナはそれぞれ剣を抜きながら左へ向き直った。

片手剣を構え、立ち止まった俺の背中が眼に入る。奥に浮いているのは身長2メートル半はあろうかという、ボロボロの黒いローブを(まと)った人型のシルエットだった。

フードの奥と、袖口からのぞく腕には、密度のある闇が纏わりつき(うごめ)いている。暗く沈む顔の奥には、そこだけは生々しい血管の浮いた眼球がはまり、ギョロリと3人を見下ろしている。右手に握るのは長大な黒い(かま)だ。凶悪に湾曲(わんきょく)した刃からは、ポタリポタリと赤い(しずく)が貼っこく垂れ落ちる。全体的には、いわゆる死神の姿そのものだ。

死神の眼球がグルリと動き、まっすぐに俺を見た。その途端、自分が今まで殺した者達の怨念が体を貫く気がした。

隣のアスナは、純粋な恐怖に心臓を鷲掴(わしづかみ)にされたような悪寒(おかん)に支配されてるようだった。

でも、レベル的には問題ないはず。

そう思ってアスナは細剣を構え直した時、前に立つ俺が掠れた声で言った。

「アスナ、キリト、今すぐ安全エリアの3人を連れて、クリスタルで脱出しろ」

「え……?」

「こいつはやばい。俺の識別スキルでもデータが見えない。強さ的には、90層クラスだな」

「「………!?」」

キリトもアスナも息を呑んで体を強張らせる。その間にも、死神は徐々に空中を移動し、3人に近づいてくる。

「お前は逃げないのか?」

キリトの問いに、俺は即座に答えた。

「ない。ここで奴を倒さなかったら、目覚めが悪くなる」

自分はこのまま残って戦う、と言ってるのだ。

俺のの横顔を見ながら微笑を浮かべ、キリトは「俺も残る」と言い出した。

「助けは無用だ!いいから行け!」

正直、レベルと剣の腕だけであのボスモンスターを倒せるかはわからない。だがもし、2人がこのまま安全エリアにいる3人と転移してこの場を去れば、残った俺は誰にも悟られることなく《あの力》を使
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