累(かさね)
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うやく産まれた娘は…突如、父の罪を暴き始める。…ある女と、そっくりな顔をして。…結局、継子の祟りは60年に及びその家を、村を苦しめ続けた」
…めでたい現場でなんちゅう本を読むのかお前は。
「恨みを抱えて屠られた魂は、新たな両親の元に生を受け、何百年も渇望した『人生』を謳歌し始めた。…そうだねぇ」
「………」
「全てを手に入れたその魂は、かつて屠った者を果たして…赦すだろうか」
「累をそのままなぞるなら、赦さないんでは」
「……お前なら」
「何百年も、恨み続けるバイタリティがねぇよ。お前如きに面倒くさい」
「……根性なしめ」
くっくっく…と、奉がいつも通りに笑った。
おずおずと、次第に伸びやかに響き始めた産声が奉の声をかき消した。慌ただしく飛び出して来て俺を出産直後の分娩室に引きずり込もうとする鴫崎を必死に拒否りながら、俺は奉が鴫崎の視界に入らないように体の方向を変えた。
ドアの隙間から、こいつの子にしては奇跡的に目鼻立ちが整った、小ぶりな乳幼児が見えた。
落ち着きを取り戻した鴫崎にコンビニ袋を渡して分娩室に送り返し、振り向いたその時には、奉は消えていた。
まるで最初から居なかったように。
……結論から云うと、『屠られた子供』は奉を赦さなかった。
『りんちゃん』と名付けられたその女の子は、まだ小さいのによく笑う、愛嬌たっぷりの子供だった。
だが何故か奉が近寄った時だけ、親の仇を見るような目をして、火が付いたように泣き叫ぶのだ。
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