第193話 洛陽鎮護
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るだろうが、劉協が皇帝位を譲る者が正宗であれば、彼に対抗できる皇族や諸侯は限定されてくる。彼らを力で屈服させる自信が正宗にはあった。
「私のことなどどうでもいい。私は兄上と静かに暮らせればそれでいいのだ。もう籠の鳥など嫌だ!」
劉協は泣きはらした顔を上げ正宗のことを見た。
「それが望みなのだな」
劉協が頷くと正宗は頷き返した。正宗は劉協を準皇族として扱うつもりでいた。劉弁の扱いも劉協に準ずるものとするつもりだった。劉弁については彼の出方次第という条件付きではある。
「協の兄上が私に協力しれくれるならばその願いを叶えよう」
正宗は真剣な表情で劉協に言った。その瞳には強い意志を感じた。正宗は劉弁の協力が得られなければ、力尽くで劉弁を排除するつもりでいるようだった。
聡い劉協も正宗の真意を理解しているようだった。
「説得してみせる。兄上も私ももう政などに関わりたいなどと思っていない。兄上もご無理をして必死で頑張っておられた。いつも悩んでおられたのだ」
劉協は悲痛な表情を浮かべ、この場所に居ない兄・劉弁のことを心配している様子だった。
「正宗、兄上はどこに居るのだ?」
劉協は涙を拭きながら正宗のことを見た。その目は正宗が劉弁の居場所を知っていると確信しているようだった。彼女は都の混乱に乗じて自分を助け出した正宗が、兄・劉弁のことを無視するはずがないと感じたのだろう。そうでなければ正宗が自分に劉弁に協力を求める必要があることを打ち明けるはずがない。
「私の義妹が保護している」
劉協は正宗の説明を聞くと安堵した表情に変わった。彼女が兄想いであることが窺うことができた。
「兄上に会わせてくれ!」
劉協は正宗に頼んできた。その前に正宗は話すことがあった。
「その前に話をしいておくことがある。董仲穎のことだ」
「処刑するつもりか。勝手にするがいい」
劉協は表情から感情が消え冷たい声で言った。彼女の董卓への怒りを感じた。彼女は董卓を庇う素振りは一切感じられない。
「董仲穎は処刑しない。表向きは死んだこととし助ける」
正宗は劉協の態度に逡巡すること無く、今後の董卓の扱いを劉協に説明した。その言葉に劉協は驚き表情を固くした。彼女は董卓の助命に不満のようだ。だが、正宗は劉協の考えで董卓の扱いを変えるつもりはない。
「何故だ!? 董仲穎は賈文和に協力し此度の大乱を引き起こしたのだぞ。賈文和がどれ程の朝廷の高官を殺したと思っている」
「董仲穎に罪はあるだろう。だが、その罪を負った董仲穎の助命のために殉じた者がいる。他にも董仲穎の家臣で私に投降した者達は董仲穎の保護を条件に私に従っている」
劉協は正宗から段?の話を聞かされると目を瞑った。そして
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