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WHITE ALBUM 2 another story ~もう一つのWHITE ALBUM~
【2話】どうして??
どうして??[前]
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と言葉が漏れた。

「母さん、俺ピアノやめるよ」

それ以来、母は俺のすることに一切、口を出すことはなくなった。もちろん母からのレッスンもやめた。だが高校まではたまにピアノの前に立ち、あの時の天才に今ならなれるのではという幻想を抱きそのたびになれないことに失望し、大学に入ってからはつい1か月前まで弾いてなかった。と言ってもたまたま時間があり、立ち寄った楽器屋においてあるキーボードを軽くいじったぐらいでしかない。

やめていた音楽にまた向き合おうと思ったのはあの時に心が動かされたんだあの歌声に。







「心知らないでしょー??深夜くんピアノ上手いんだよ!!」

「えー??こいつが??」

ん??なんでだ??レイどころか誰にも披露したことはないぞ??

「ちょっと待て、俺は誰にも弾いたところを見せた覚えはないぞ」

「だって、こっそり見てたから」

俺は驚きで言葉を失った。見られてたのか・・・急に恥ずかしくなった。

「なら話しかけてくれればよかったのに」

「だって、せっかく上手に弾いているのにあなたはなぜか寂しそうというか辛そうな顔をしていたの」

そうなのか。自分では意識がない分、そう受け取るしかない。でもなんとなくだが理由は分かっている。弾いてるときにあの天才の影がちらつくのだろう。
一音、一音弾くごとに、自分の演奏と天才少女の演奏をテストの自分の解答と模範解答を比較するように、演奏も照らし合わせてしまっているのだろう。
あの時から俺は見えない敵と戦っていたのかもしれない。
そしてその戦いに負けたからピアノを遠ざけた。
だけど、一人の少女が教えてくれた音楽の素晴らしさを。
だからこそ彼女を信じて、俺に手を差し伸べてくれるなら。
俺は息を整えて言う。

「わかった。本気でプロを目指してもいい。ただし条件がある。俺が納得のいく演奏を二人が見せてくれ」

彼女は驚きのあまり立ち上がり周りの客の目を引いた。俺と心は手で座るように合図した。すると彼女は恥ずかしそうにして、ささっと座った。

「え??本当に目指してくれるの??」

「嘘でなければ目指すさ」

「どうして??就職とか、あなたのこれからを犠牲にするかもしれないいんだよ??」

「ああ、かまわない。特にやりたいこともなかったし。」

どうしてって・・・??だって俺は君に救われたんだ。

「そ、そっか・・・!!やったね心!!」

「私はまだやるとは言ってないけど」

「え・・・やらないの・・・・??」

レイが悲しそうに心を見つめると、彼女はため息をつき、少し悩んだ後返事を返した。

「お父さんとお母さんに聞いてからじゃないとな・・・」

「じゃあまだ望みはあるね!!」


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