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WHITE ALBUM 2 another story ~もう一つのWHITE ALBUM~
【2話】どうして??
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時間を少し遡って1時間前
「深夜くんと心は知り合いだったの??」
「私とこいつは大学の同級生だよ」
バイト先の先輩などは恥ずかしいのか言わなかった。
「ああ、さすがにびっくりした」
「そっか・・・・」
彼女は少し黙りこんだが、そのあと再び口を開く
「運命的だね。そうだよこれは運命だよ!!」
彼女は納得したように頷いている。
「いきなりで悪いんだけど、深夜くん、心、私たちでバンド組まない??」
ん??俺は何故この結論に至ったか全く見当がつかなかった。
「私は別にいいけど、こいつが楽器なんて弾けるのか??」
「おいちょっとまて、なんで俺が弾けないことになってるんだよ?」
「弾けるのか?」
あいつは真剣な眼差しでこちらを見る。
「多少はな」
もう弾いてない。あれは何年前だろうか。いやはっきり覚えている。あれは。
中学に上がる一年前の小学6年生頃。俺はまだ東京に住んでいた。これでも良いところの坊ちゃんで生まれた俺は小さい頃から母親が元プロの音楽家だったこともあって、ピアノを習ってた。最初は楽しかったかどうかなんてわからなかったが母親が褒めてくれるそれが嬉しかったということだけは今でも覚えている。小学2年生から初めて、小学4年生に俺はその才を発揮した。なんとなく母親の勧めで出たコンクール小学生の部で優勝したのだった。あとあと気づいたのはそのコンクールは決してレベルの低いものではなかったということだった。それからというものの俺は天才という称号をもらい、周りからちやほやされる、そんな状況が小学生の俺には心地よかったのだろう。だがこの時点で俺は少なくともピアノを弾くという行為には全く楽しみを感じなかった、ただ周りから褒められるということにのみ楽しみを抱いていた。
そして俺に転機が来た。たまたま母親の知り合いに招待されて、ある天才ピアニスト冬馬かずさのピアノというものを聴きに行った。俺はたぶんこう思ったのだろう。自分以外に初めて出会った天才とは一体どんな奴なのかと。今思えば年も違えばその分経験も練習量も違うのだから上手いはずなのだ。だがその時の俺はただ負けたとしか思わなかった。その小さい頭で今までの自分を振り返った。
ちゃんと練習してきたか。ーいやそこまで本気でしていなかった。
ピアノを好きか。ー別に好きでもない。
なぜ引くのか。ーただ褒められたかっただけだった。
俺のピアノはこれだけで収まってしまうほどのものでしかなかったのだ。
その後も俺は真剣に彼女のピアノを聴き続けた。聴いていてすごく伝わる。音の一つ一つが彼女の心、気持ちのように彼女のすべてピアノに籠っていたのだ。
その時、素直にこの天才には勝てないと思った。
そして、ぽつり
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