ただの恋のおはなし
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のよ…『あ、これバーゲン出てたやつー!』『それ私も持ってるー!…社割で買ったけど☆』とか云われるのが怖くてね。分かるかな」
「まぁ分かるけど…」
「かといって調布駅周辺でオシャレな服や雑貨が買えるのはリアルに!シビアに!パルコだけ!!競合はないの!!つまり…パルコでバイト始めた時点で既に出禁食らったようなものよ。…若かった。あの日のモエは、そんなことにも気付けなかった…そう、パルコはオアシス、そして調布は乙女の砂漠…乙女に辛くおっさんに優しい街。それが調布……」
―――その辺は思い当たるフシがないでもないけど、ほんと酷い云われようだな……。
「で、でももうすぐ…ほら、駅ビル出来るじゃん!ビックカメラとかシネコンとかも入ってるでしょ!?うすら寂れたってほどでも…」
「シネコン?『映画の街 調布』だから?あのキャッチフレーズは京王多摩川の大映スタジオの事云ってんのかな」
「…一応、あるじゃん日活も。かつては『日本のハリウッド』と云われたとかなんとか」
「出たー『日本の○○』とか『和製○○』とかいう一番ダサくなる言い回しー」
「……そうだね」
「後付けみたいに作ったシネコンで、なに上映しようっていうの…ゴジラ対メカキングギドラ?大魔神?大巨獣ガッパ?」
「ガッパのことは!日活の闇には触れないであげて!!」
「これだけ色々テコ入れされてるっていうのに拭えない、この一種独特の寂れ感…なんでかな…モエ、何だかドキドキしてきた…ひょっとして妖怪のせいなのね、そうなのね!?」
「そこは無理に水木しげるに結び付けなくていいから…」
完全に調布ディスり始めたぞこの女は。
「もう一つの新しい恋も、そんなドキドキのせいなのかな♪」
―――まだあんのかよ!!!
「同時進行多過ぎだろ。進行管理出来てんの?どっかで混ざらないの?」
「走り出した恋は止まらないの?」
「やかましいわWINKか」
「恋多き…罪な女…」
「大丈夫。何一つ具体的な段階に進んでないから罪とか発生してない。全然大丈夫。めっちゃ無罪」
罪が発生しているとすれば私の試験勉強の邪魔くらいかな。…大罪だが。いつか必ずシメるが。
「厳しいなぁ…あー、イライラのワケ、分かっちゃった♪」
モエは軽く両手の指を組んで肘をつき、顎を乗せる『相談に乗ってあげるお姉さんポーズ』を取り始めた。
「キミの恋の話、聞いちゃおう・か・な?」
「これ以上勉強の邪魔すると山に捨てるよ」
「えー、辛辣ー」
話が終わらないので、私は一旦テキストを閉じるとモエの荷物と私の荷物を部屋の端と端に分けて押入れを開け放った。
「…続きはこちらで」
「えー、押入れー?」
厭そうに身をよじるモエをぐいぐい押入れ方向に押す。もう最近はめんどくさくなると押入れに放り込むようにしたの
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