ただの恋のおはなし
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」
「バレンタインチョコレート、渡しちゃおうかなー」
「自分で取んじゃね、景品として」
「どうしようー、モエ、恋しちゃってるかもー」
「ほんとやめな。そこ、この辺で一番恋しちゃいけない地帯だからね」
やばいこいつやばい、放っておくと自動的に不幸を呼び込むわ。コイツの親、なんで一人暮らし許可したんだ。
「じゃあ…京王多摩川近辺で見かけた、赤鉛筆を耳に挟んだワイルドな紳士のことを」
「それガチじゃねぇか!ガチの競輪狂だよ!!あんたはもう調布で恋すんな!!」
―――勉強が進まない。
「モエのホームグラウンド調布を、どうしてそんな風に云うの!?しくしくしく…」
「何にそんな愛着が??住んで2カ月くらいだけど?」
「あなたは調布のことなんて、何も分かってない…」
「未だに近所で道に迷うあんたに云われたくないわ」
「あの水木しげる、そしてゲゲゲの女房までもが住むセレブの街、調布…」
「そいつら同世帯だから。ついでに云うとしげる氏は亡くなったからね」
「…貧者の一灯を吹き消された気分ね…」
「貧者っつったか今」
なんかもう疲れてきたぞ、まだ今日の分終わってないのに。
「くっ…とうとう、奥の手を出す時がきたようね!」
「……いやいいよもう……なによ奥の手って……」
「―――あの高田純次を生み出した街、調布!」
「下ネタ大好きなおっさんだが!?むしろセレブ感ぐっと遠のいたが!?」
「…田園…調布」
「田園つけたら高級住宅街みたいになると思うなよ!!どうした、奥の手はこれで終了か!?」
「……さて、と。蟷螂の鎌2本ともへし折られたところで」
「いやもうちょっと粘ろうよ!」
「無理…。水木しげるも高田純次も失った今、うすら寂れた埃っぽい調布に一体何が残るというの…?」
「酷い云われようだな調布!!そして高田純次はご存命だからね!?」
「セレブを失った調布は今や、居酒屋とおっさんの街…」
「調布銀座と天神通りのイメージで調布の全てを語るな!!」
ていうかさっきセレブとか云ってた高田純次なんか、おっさんオブおっさんじゃないんかい。
「酒粕が香る小便横丁…」
「そこまで薄汚くないよ!!ていうか調布銀座で呑んだおっさんが全員立ちションして帰るような云い方やめろ!!」
「じゃあ他に何があるっていうの!?居酒屋とラーメン屋とおっさん御用達の喫茶店以外に何が!?」
「…調布パルコとか!」
「特急15分で新宿に出られるのに、わざわざ調布駅前のパルコに…?」
地味に痛いところを突くなこの女は。
「そのうえ自分のバイト先に?わざわざオフの日に?」
「働いてんの!?」
よくこんなの雇ったな。
「で、でもだったらいいじゃん!顔が利くってやつじゃん!」
「…他テナントの子と仲良くなっちゃうと逆に買い物出来ない
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