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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜
59部分:ターラの花その四
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ノート連合軍をマンスター北に葬ると一挙にマンスター、コノート、そしてレンスターを落とし掠奪の限りを尽くした。多くの市民や農民を殺し、王族や有力貴族達の一族を幼子に至るまで全てレンスターの民達の前で首を刎ね晒しものとした。その中にはリーフの祖母の姿もあった。
 勢いに乗りアルスターへ侵攻し城を包囲した。これでトラキア制覇は成ったと思われた。しかしこの時帝国の軍勢がレンスターへ到着した。圧倒的な帝国の大軍の前にトラキアは止む無く兵を退き条約を結んだうえで帝国の同盟国となった。
 今でもトラバント王の名を聞けば心ある物は皆顔に嫌悪の色を浮かべる。しかし祖国トラキアでは違った。これといった産業も無く貧窮に苦しむトラキアの民にとって祖国を豊かにする為自らグングニルを手に戦うトラバント王は祖国を救う英雄であった。だから竜騎士団は王を歓呼の声で迎えたのだ。
 万歳の声が響き渡る中トラバント王は本陣となっているひときわ大きな天幕の中へ入っていった。将校達が一斉に右手を肩の高さに横に上げ肘から上を直角にに指を合わせ手の平を掲げるトラキア式の敬礼を取る。
 王はそれを手で制しながら天幕の中央に置いている机へ向かった。机の上にはターラ城を中心とした地図が置かれている。城の周囲にはフリージ軍を表わす緑の駒が置かれその南にはトラキア軍を表わす濃茶の駒が置かれている。
「どうやらフリージの奴等、我等の力を借りるつもりは無いらしいな」
 トラバント王は地図を見ながら言った。
「まあ良い。口実なぞ幾らでも作れる。フリージが動いたらわし等も動くぞ」
 王は天幕まで連れて来た二人の若者の方を見た。王の左右でそれぞれ地図を見ている。
「アリオーン」
 右の男の若者を呼んだ。
「貴様は三千の兵を率い軍の右翼となれ」
「はい」
「アルテナ」
 左の女の若者を呼んだ。
「貴様は三千の兵を率い左翼となれ」
「解かりました」
「中央の四千はわしが率いる。ターラの富は我等がものぞ!」
「はっ!」
 将校達は敬礼し持ち場へ移っていった。後にはアリオーン、アルテナが残った。

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