暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
砲火
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なんや?ケットシーがALO最強なんは、あくまでシルフと同盟を組んどるからや。単純な領同士の力比べなら、マンダー連中の方がお眼鏡にかなうんとちゃうんか?」

すると、ファナハンは吐き捨てるように嗤った。

唾棄するように、自嘲的な笑いで。

「サラマンダーは憎んではいない。むしろ、尊敬しているよ。自らの知力と武力と財力を絞り、駆使し、領主殺しを成し遂げた種族。……今ある自分が出せる最高の力でお膳立てして、不可能を可能にした種族」

「綺麗ごとやな。ただの騙し討ちやろうに」

「それでもだよ」

スプリガン領主は緩やかに両腕を広げた。

「騙された方が悪い、とまでの極論は言わない。だが、シルフは考えるべきだった。種族の生命線たる領主が敵の鼻先にのこのこ出ていく危険性をな」

仲良しこよしやってんじゃねぇんだ、と彼は吐き捨てる。

「信頼はいつだって疑念と表裏一体だ。一定の信頼には一定の懐疑心が要る。それがなかったからこそ、シルフは地に叩き落とされ、サラマンダーは天下を取った。それだけだろう?」

「随分とご立派な詭弁やな。カンペでも用意してたんけ?」

ヒスイの子供のような挑発にも、ファナハンはあからさまに柳眉を逆立てた。

憤激する領主を尻目に、ヒスイは更なる追い打ちのように欠伸をした。

「そんで?あんさんがトカゲどもの大ファンやぁゆーのは充分分かったけど、肝心要の答えは聞いてへんで。何であんたらは、あてらケットシーを標的に選んだんか?」

すると男は、一拍の時を置いて語り出した。

怨念のような怨嗟の声で。

「…………お前らが、()()()()いるからだ」

「はぁ?」

ギラリ、と。

抜き身の刃のような、赤熱した炎のような、激甚の感情を瞳に宿し、領主の男はこちらをキッと睨みつけた。

「最高クラスの敏捷値!視力、聴力!加えて魔法全般との親和性も高く!!おまけに飼い馴らし(テイミング)スキルまで持ってやがるッ!!それに対して俺らはどうだ!スプリガンの特性なんて、宝探し(トレジャー)関連と幻惑魔法の非戦闘系だけだ!!……なぁ教えてくれよ、優良種族サマよ!!影妖精(オレら)猫妖精(おまえら)、いったいどう食い違った!!?一体全体、どこをどう間違ったらこの違いが生まれるんだよッッ!!!!」

「――――ッ」

彼の気迫に、その怒気に、大気が恐れをなしたように身をすくませる。

木々が突風を受けたようにざわめき、その空気の変質を敏感に感じ取った隊員達によって、陣列が微妙に揺れる。

それを落ち着かせるように手を上げ、なだめすかしながら、ヒスイは激昂する領主ファナハンを睥睨する。

―――今の現象は、心意か?

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