56部分:ターラの花その一
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リノアン様あってのわし等です」
市民達は口々に言う。そんな市民達にリノアンはうっすらと微笑んだ。
「皆、有り難う」
だがすぐにその顔を憂いの帳が覆った。
「・・・・・・けれど御免なさい。皆をこんな危機に追いやってしまって」
「危機!?」
市民達は一斉に笑った。
「何言ってんですか、あんなフリージの雑兵なんてめじゃありませんよ」
「そうですよ、わし等にはこの城壁と武器、それにリノアン様がおられます」
「トラキアの奴等なんかこの弓で射ち落としてやる」
「そしてトラバントの野郎からグングニルを奪い取ってやるんだ」
「そうとも、あのハイエナ野郎には神器なんぞ勿体無いわ」
リノアンは勇気付けてくれる市民達に思わず涙を落としそうになった。しかし泣かなかった。
「皆・・・解かりました」
リノアンは必死の思いで喜びの表情を作った。
「頑張りましょう、セリス公子がターラに来られるまで!」
市民達がおおっと叫び声をあげる。リノアンはその喚声の中胸のペンダントを握った。幼い頃父が誕生日のプレゼントにくれた物である。
(父上、ターラを御護り下さい・・・・・・)
少女は密かに祈った。
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