55部分:雷帝その八
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雷帝その八
既にリフィスと取っ組み合いの喧嘩にまで発展していたパーンは手を止めディジーの方を見た。
「ここに来た訳を知りたいそうよ」
「あ、悪い。忘れてた」
「・・・・・・・・・」
セリスはともかくオイフェの額の血管が浮き出ていた。
パーンはセリスの前に立つとやや野放図な敬礼をした。
「初めまして、セリス公子。俺はターラの盗賊団ダンディライオンの頭目やってるパーンといいます」
「よろしく。僕は解放軍のセリス。ところで君達がここに来た理由は?」
その言葉に急にパーンの表情が深刻かつ険しいものになる。
「・・・・・・もし良かったら俺達を解放軍に入れてくれませんか?」
「それは大歓迎だよ。今は少しでも人材と兵が欲しいしね。けどどうしてそんな深刻な顔をするの?」
「・・・・・・図々しいのは解かってます。そちらにも都合があるのは解かってます。けれど頼みたいんです。・・・・・・ターラを救ってくれませんか」
「えっ、ターラを・・・・・・」
唖然とするセリス。サフィの顔が凍りつく。
「今ターラはフリージのイリオス将軍率いる二万の軍に包囲されています。いや、それだけならまだいい。トラキアの竜騎士団が帝国との同盟を口実にターラを我が物にしようと進出して来ているんです」
「トラキアが!?」
今度はオイフェが顔色を変えた。トラキア軍の強さと卑劣さ、そして強欲さを彼はよく知っていたからだ。
「セリス様、これは一大事です。フリージのイリオスという者、出世欲は強いところがありますが市民や降伏した者には手出ししない人物と聞いております。しかしトラキアは違います。トラバント王はどんな卑劣な恥ずべき行為も平然と行なう男、おそらくターラが帝国に反逆を企てたという理由で己が領土に組み込むつもりでしょう。そうなればターラの市民は反乱の咎で皆殺しです。ですが我が軍は一刻も早くレンスターへ向かわなければなりません。どう為されますか?」
「・・・・・・それは決まっているよ」
セリスはオイフェの瞳を見た。青い瞳が強い意志で輝いている。
「オイフェはいつも僕に言っていたよね。君主は弱い者、守る術を持たない者の為に戦わなくてはいけない、って。今がその時だ。確かにレンスターのリーフ王子達が気懸りだけどそれよりも何の罪も無いターラの人達がトラキアに脅かされるのは見るに耐えない。すぐにターラへ行こう!」
セリスの言葉にオイフェは片膝を着いて礼をした。
「・・・・・・それでこそ我が主君です。よくぞ御決断なされました」
諸将も兵士達もセリスの周りに集まっていた。セリスが剣を高々と掲げた。
「行こう、ターラへ。トラキアの魔の手からターラと市民達を救うんだ!」
解放軍の将兵達が手にした武器を高々と掲げ叫び声ヲアゲル。ティナはサフィに抱き付いて飛び
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