第三十五話 臨終の床でその八
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「そして子が生まれれば」
「そのお子にですね」
「この国を継がせたいと思っていました」
「そうでしたね」
「そのこともわかっていましたね」
「わかっていました、ですが」
それでもとだ。今度はマリーが悔恨の言葉を述べた。
「私はお姉様に何も」
「私に遠慮をしてですね」
「そうでした、どうしてもです」
「貴女もそうでしたね」
「申し訳ありません」
「いいです、ですが」
「それでもですか」
「全ては終わります、その終わりの中で」
まさにその時にというのだ。
「私は全てを貴女達にお話しているつもりです」
「そしてですね」
「そうです、全ては」
「そのうえで」
「私は貴女達にお願いするのです」
「この国、そして四国のことを」
「民達を、四国を」
そのどちらもというのだ。
「幸せに」
「わかっています」
マリーは誓った、姉に対して。
「必ず」
「そうして下さい、そして貴女は間も無くご夫君を迎えますね」
「そうなります」
「幸せに」
妹のその顔を見て言葉をかけた。
「必ず」
「私もですか」
「はい、思えば私はあの人そして貴女達がいて周りにも人がいて信仰もありました」
自分自身もだ、マイラは向き直った。そのうえでの言葉だった。
「幸せでした、貴女達も」
「幸せに」
「そして長くです」
その幸せをというのだ。
「楽しんで下さい」
「そうさせてもらいます」
「全ての幸せをその手に」
マリー達のその中にというのだ。
「そうされて下さい」
「それでは」
「その様に」
「そうさせてもらいます」
マリーも答えた。
「是非」
「それでは、そして」
「そのうえで」
「貴女に託します」
こう言ってだった、マイラはマリー達に微笑んで話した。
「それでは」
「はい、では」
「これまで有り難うございました」
こうもだ、マイラは言った。
「これが最後になりますが」
「後はですね」
「最後の審判の時に」
まさにその時にというのだ。
「お願いします」
「それでは」
「さようなら」
四人は共にだった、同時にこの言葉を贈り合った。
その後でだ、マリーはセーラとマリア、そして側近達を促して部屋を後にした。深々と一礼をしたうえで。その後でだった。
セーラはマリーの部屋に戻ったところで泣きそうになった、だがその彼女にマリーは俯かずにこう言ったのだった。
「泣くことはです」
「なりませんか」
「気持ちはわかります、ですが」
「私達はですね」
「王家の者です」
だからだというのだ。
「泣いてはなりません、そして」
「お姉様の為にも」
「そうです」
このことからもいうのだ。
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