プロローグ
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数年前……とある研究所
『本当にいいのかい?確かに君には素質はあるがデメリットが大きすぎる!』
博士はそういうが、俺は俺の決意は揺るがなかった。
『やってくれ。このままじゃ、彼女たちを真の意味で救えないんだ』
腰に付けていた太刀______『魔剣』を縦に置く。
『<開放>』
魔力を込めてその一言を口にすると、淡く光り、先程までそこにあった太刀が形を変え、人型へと姿を変える。
『……主、本気で言っておるのか?』
紅い巫女服を着る銀色の髪を揺らす女性。魔剣<神刀フツノミタマ=カグツチ>。
普段の彼女からはとても考えられない神焔を放ちながら俺に問う。
『魔力自体は確かにそこらの魔剣使いより劣る。だが我が主よ、たかが『魔剣』二振り救うことに何故悪魔の鍵の力、それも人間が作った人為的な物を必要とする?』
焔が燃え盛る。それでいて彼女の焔は何も燃やしてはいない。
彼女の焔は闇を燃やす神焔。遠き時代に悪神をうち滅ぼした焔。彼女は故に審判する。
『さぁ、答えよ我が主、サイカよ。主は何故力を欲する?』
自身の気に入らぬ返答をした場合は即座に灰にする、それが彼女の意思だ。
だから、故にこう言わざるを得ない。
『……決まってるだろ』
俺は彼女の____カグツチの眼を見て答えた。
『彼女たちに安息を。彼女たちに救いを。その為なら俺はどんな手段も選ばないし、魔剣に喰われても構わない』
答えを口にした途端、彼女の神焔は弾け、元の部屋に戻った。
『……くくくっ、あーっはっはっ!』
カグツチが突然笑い出す。だが、俺は気にせず博士と共に扉の奥へ入っていった。
『……禁忌に自ら触れるその意思。その魔剣たちは君のなんなんだい?』
衣服を脱ぐ俺に、博士が問う。
『二人は……俺を初めて人間にしてくれた人達だよ。俺のことは覚えちゃ居ないけどね』
俺はそういうと、台に寝そべる。
『博士、頼んだぜ。あんたの腕は信用してるんだからな』
博士は頷き、善処しようとだけ言うと、俺の腕に針が刺さり液体が入り込む。
そして、俺はゆっくりと意識を暗闇に落としていった。
カグツチサイド
『……くくくっ、やはり主の子よのぉセイガ』
カグツチは一人、扉の前にある椅子で笑っていた。その手にはサイカすら知らない太刀が握られていた。
『のぅ、セイガ。やはり我には奴を止められんよ。止められるはずがあるまい。我が賢しい妹と共に手を焼いた主の子ぞ?我一人が止められるはず無かろうに』
カグツチはその太刀を消すと、扉を見て呟いた。
『我を従いし者よ、主の行く末は我が、いや我らが見守ろうぞ』
そう言うと、椅子から立ち上がると外に出
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