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ブレイブソード×ブレイズソウル -勇気の在処-
その勇気は何処に在る
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[9] 最初
がまだまだチビだった頃に助けてやっただろ。そん時に知ったのさ。強くなりてぇって目をしてやがるから、つい名前を知りたくなっちまってな」

 その言葉に、彼は自分に──エルに、興味があったということを知った。
 だが、そんなものはどうでもよかった。
 それよりも、どうしても聞きたいことがあった。

 今まで隠れていたその想いが、外面に(さら)け出される。

 意図せず言葉が紡がれる。



 背中しか見せることなく、去って行ってしまった存在への、多大なる感謝ではない。

 その存在に対して感謝の一言も言えなかった物足りなさと、振り向かせることもできない、己の弱さへの、未熟さへの恥でもない。

 今、自分がその立場にいるからこそ姿を現した疑問。



「どうしてあの時……僕に協力してくれたんですか──」



 そう聞くと、彼はこれまたニヤリと笑って言う。

「んなもん、初心者(チビ)の喜んだ顔が見たいからに決まってんだろ。俺が初めて魔剣を持った時、あーして自分を助けてくれた奴が居たのさ。
 それじゃ、な」
「い、いや、待ってくれ、おい……」

 彼は言うだけ言って、またすぐに去ってしまった。

「笑顔が見たい……? 訳分かんね……何が言いたいんだよ……何が……」

 答えは、見つからなかった。
 くそ、と漏らしそうになる。

 そんな時、あまりに予想だにしない声が、鼓膜を震わせた。

「前しか見ていない」

 もう存在しないはずのメリクを幻視する。だが、その言葉を発したのは当然ながらメリクではない。
 じゃあ、誰なんだ。そうしてその姿を捉える。

 ルーンブレード。

 ……記憶がなくなったはずの、ルーンブレードからだった。

「は……? ルーンブレード、それって……?」
「え? あ、あれ……? なんでだろ……なんだか、突然この言葉が頭の中に浮かんできて……」
「あ、私も同じこと思い浮かんだ! ルーンブレードも同じなの?」
「うん……でも、なんで……?」

 なんで記憶が蘇ったのか。
 そんなものは分かりはしないけれど、でも、一つだけ分かったことがあった。


 これなら、メリクに償えると。


 きっと、あの死は無駄じゃない。
 いや違う。きっとじゃない。絶対に、だ。
 絶対に、あの死は無駄じゃない。

 今になって気付くなんて、馬鹿みたいだ。


「なぁ、ブロードソード、ルーンブレード」
「うん?」
「どうしたの、マスター」




「俺さ────────」



 願いを、言葉に。
 そうすれば、叶うような気がしたから。

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