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ブレイブソード×ブレイズソウル -勇気の在処-
その勇気は何処に在る
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 気付いた時には、遅かった。


 それは五番目の壁。重くのしかかる重圧、振動するかの様な大気。それを纏うそれはまさに三番目の壁となり得た。

 霊獣姫──ジャンヌ。

 それは遥か彼方。達人級の魔剣使いのみが挑むとされていた魔鍵ユグドラシル。その最深部。
 いつの間にかメリクとそこに立っていた。
 一瞬だけ、メリクと視線を交わらせる。
 そして、ジャンヌに視線を戻す。

 それが戦闘開始の合図。

 視認することすら難しい、まさに閃光の如き一撃。それが二人を襲う。
 己の真横で爆弾の様な衝撃。弾け飛ぶ瓦礫が騒々しい。
 もし一瞬だろうと動きが遅かったら、そう考えるのはすぐにやめた。
 攻撃を避けたのなら、次はこちらの番だ。全力疾走し、その胴体に斬撃を入れようと跳躍する……直前。

 反射的に足に込めた力を抜く。そして即座にバックステップ。
 目の前の床が粉砕される。破片が頬を切り裂く。その小さな痛みが思考をクリアにする。
 速い。だが、それを知っているからこそ、避けられるし、対応もできる。
 目の前に振り下ろされたそれは足か、腕か、そんなものを認識するよりも速く魔剣をそれに突き刺す。
 ジャンヌの悲鳴。
 振り上げられる。それと同時に身体も持ち上がる。直後、二度目のジャンヌの悲鳴。
 メリクの斬撃がジャンヌの腹部を切り裂いている。

 ジャンヌの意識はメリクに向く。空を舞っている自分には気付いていない。
 いやこんな所にいるはずないと思っているのかもしれない。
 圧倒的なまでに好機。
 この瞬間を逃す訳にはいかない。

 言葉など不要。
 一瞬だけ見えたメリクの鋭い視線から彼の想いを全ての理解する。

 両手で構えた魔剣を振り下ろす。狙うは首筋。

 ブロードソード、お前の全力を、出し尽くして、こいつを────────ッッ!




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 ………………気が付いた時、空を見上げていた。
 背後には、長い時間いたユグドラシルが(そび)え立っている。
 どこか親近感のようなものも湧いた。

 隣には誰もいない。
 あったのは、確かな存在感を醸し出すソウルの波動と、光を失ったブロードソードとルーンブレードだった。
 そこに称賛の声は無く、あったのは、虚しさだけ。

 そう。
 メリクは、死んだ。自ら囮となって。その際に、ルーンブレードが崩壊した。
 その隙を狙いながらも、だがブロードソードが崩壊する程にジャンヌは強大だった。

 最終的に、ブロードソードが崩壊するとほぼ同時にジャンヌは生き絶えた。


 あまりに、何も感じなかった。
 その出来事が大き過ぎて、感じ取れなかった。




 それから
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