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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#49
FAREWELL CAUSATION\〜Abstinence Paradox〜
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【1】


「ああぁ!! ううぅ!! くああああぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」
 寂滅の戦場に響き渡る、幻想美少女の悲痛。
 嗜虐に酔う倒錯者にはこの上ない感興を擽られる光景。
 本来 “逆” の立場だったが形勢は完全に覆った。
 この戦いが始まる前と今では(途中の経緯を鑑みても)
両者の総力差には歴然の披きが在る。
「無駄よ……やめなさい」
 圧倒的優勢の立場に至った少女が、その勝利を当然として勧告を促す。
 絶対的不利な戦況に陥った者が勝機を掴むには捨て身になるしかない。
 だがその「過程」を潜ってきた少女だからこそ、言葉は尋常ならざる威風が籠った。
「そうで、ない事は、アナタが、一番、解ってるんじゃないですの?
なら、さっさと、その剣で串刺しにすれば如何?
そうできないから、私に拘束されるしかないのでしょう? 
くっ! ああぁ!!」
「……」
 その気になれば、甲冑の肘撃でいつでも引き剥がす事が出来る。
 だがこの少女は倒され瀟洒なドレスを泥塗れにされても
同じ事を繰り返すだろう。
 白一色の双眸で昏倒しているソラトが復活するまで、
その機に合わせるため必要以上に自分を抱え込んでいるように見える。
 だが――
「 “ソレが” 無駄だって言ってるの」
 無明の双眸を閉じ少女は静かに告げる、
相手も解っているのかもしれないと感じながら。
「 “アイツは帰ってきたのよ”
その意味は解るでしょ?
おまえ達の『切り札』を潰すと言ったアイツが帰ってきた。
逆を言えば、全部潰さない限り、アイツは帰ってこないのよ」
「――ッ!」
 可能性の一つとしては考えられたコト、
しかし自身達の優位により盲点となっていた、
その事実は炎熱に灼かれる少女にも束の間寒気を覚えさせた。 
 その思いを払拭するように都市の俯瞰から、
4つの光柱(ヒカリ)が立ち上り重傷を負ったソラトに集束していく。
「フ、フフ……! 言わないコトじゃありませんわッ! 
やはりあの男は役目を途中で諦め助勢を乞いに来た。
片腕を犠牲にしても破壊出来たのはピニオン一つだけのようですわねッ!」
 裏返しの裏返し、半ば虚勢にも近かったが明確なる結果を前に勝ち誇るティリエル、
しかし再び像を生む獅子を一瞥すらせずシャナは告げる。
「私に嘘つかないのよ。アイツは、絶対に」






 ドゥンンンンンンンッッッッッッッ!!!!!!!




 宣告を起爆剤とするように再度俯瞰、
4つの光柱がゼロコンマ一秒のタイムラグもなく、
瑠璃色に煌めく爆滅と共に吹き飛んだ。
 その光景は今戦場に生きる者、
各々の死闘を征した者達を鮮やかに照らし出した、
勝利の篝火、終戦の表象そのものだった。





 
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