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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#49
FAREWELL CAUSATION\〜Abstinence Paradox〜
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や、か……に………………」







 紅世の徒 “愛染他” ティリエル 消滅。






“そうなるはずだった”
 或る 『運命』 に於いてはそうだった、しかし――
『……』
 復活したソラトの全身から、相乗効果によって爆発的に増大した存在力が迸る。
 生命の奔流、その激しさは大瀑布をも上回る烈度を伴って、
己に注がれ増大した力が『逆流』していく。
「――ッッ!!」
 余りの衝撃に声が出なかった、存在は復活したにも関わらず声帯が押し潰されたかの如く、
してはいけない事、在ってはならない事、アレほど、アレほど言ったのに――!






『ねぇ? お兄様……』





 自分は、その存在のスベテを掛けて、貴方を護る。
 でも貴方は、私を護ってはいけない、助けてもいけない。
 自分の事を第一に、自分だけを大切に、
貴方自身の成長が、存在が、そのまま私の 『幸福』 なのだから。
 貴方の為なら、何だって出来るのだから。
 だから、 『約束』
 私に何が在っても、絶対に―― 



『GUGO……GA……』
 崩れ逝く獅子の存在は先刻の超激突とは較ぶべくもない、決定的な破滅を現していた。
 しかしその荒ぶる風貌とは裏腹の、他の何にも代えられない温かさも内包していた。
 今際の刻は合わせ鏡、己の片割れが行った事と寸分違わず同じだった。
 虚ろに霞んでは映る、獅子の凄爪がティリエルの頬を撫ぜる。
 最後にそっと、生まれてからずっとそうしてきたように。
 透明な雫で歪む視界に浮かぶのは、『約束』を交わした時のソラトの姿。
 彼は、無垢な満面の笑顔で自分に頷いた。
 解ってくれていると想っていた、解っていなかった。
 兄ではなく “自分(わたし)自身が”





「ち、近づけないッ! 一体何が、起こってるの!? 
一度途轍もなく増大した存在力が一端終息した後、
また更に爆発的に膨れ上がってる!?」
 眼前で目醒めつつある存在に少女は影を縫いとめられたかの如く微動だに出来なかった。
 ソレが明確な脅威を伴っていれば幾分かの行動は可能だったかもしれない、
しかし感じるのは怖れではなく畏れ。
 圧倒的な力で叩き潰すのではなく、
視る者を否応なく平伏させる、触れる事すら躊躇わせる気配。
 それを穢す者は、人倫の禁忌に抵触するのみならず戦いの是非すらも喪い、
未来永劫鬼畜にも劣る烙印をその躰に刻まれる。
 それほどに、それほどまでに、今目の前で展開される光景は神聖だった。
 絶望の闇の中でも輝ける、美しいモノ。 
 誰にも障れない、この世で ふたりだけのものだった。






   ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
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