第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#49
FAREWELL CAUSATION\〜Abstinence Paradox〜
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も誇りに想うスタンドが背後から優しく翼で包み込む。
彼女はくすぐったがったが離しはしない、
この人は、何が何でも自分が護る。
無言だが意志を持つスタンド 『聖 光 の 運 命』の
全身から瑠璃色の光が煌めいた。
「そ、そんな……」
最早引き剥がす必要もなく炎の甲冑から外れた腕が、
焼け焦げたドレスと共に地に落ちた。
ありえない。
有り得ない、在り得ない、アリエナイ。
しかし結果は残酷に真実を映す、
シュドナイとイルヤンカが斃された、
そしておそらく他の者達も。
一体どうして? どのような方法で? アノ恐るべき二人を?
対抗する言葉は随時浮かんでくる、
だがティリエルの洗練された知性は即座にソレを否定する。
助勢が来ない、ピニオンが全て砕かれた、
浅薄な者なら前述の理由によりまだ楽観出来たのかもしれないが、
論理に重きを置く彼女には逆に働いた、抗おうにも躰が拒否した。
「もう、 “終わったのよ” 切り札は破壊され主力も殺がれた。
潔く負けを認めなさい。そうすれば――」
そうすれば?
自分は、一体何を言うつもりだ?
「再起不能にはなってもらうが、生命はまでは取らない」
そう告げようとしていたのか?
在り得ない。
フレイムヘイズの使命としては絶対に在り得ない。
存在を乱獲し世界のバランスを崩そうとする徒は問答無用で討滅、
相手の都合や言い分など知った事ではないし知りたいとも思わない。
その冷淡さが、非情さが、ドライな態度が気高さや誇りだと思っていた。
だって相手は人喰いの化け物なんだから。
なのにどうして? いつから自分はこんなに甘くなった?
敵に情けを掛けるほど……
否、違う。
少女は小首を振って迷いを振り解いた。
殺したくないんだ、懸命に生きている者は、
命がけで何か護ろうとしている者は、誰も。
アイツならそうするから、自分と同じ精神を持つ者を、
尊敬出来る部分が有る者を、問答無用で殺したりなんか決してしない。
それは戦場に於いて、生きる事に於いて、
途轍もなく甘い事なのかもしれない。
でも、アイツはそれに後悔しない、
何があろうと全部受け止め背負い前に進む。
その甘さが自分を変えた、ただ使命に殉ずるのみの、
“討滅の道具” から『人間』 に変えてくれた。
フレイムヘイズで在っても、そうでなくても、
“私は私だから”
掛け替えのない者達と共に歩き想いを分かち合っていく、
その事に強いも弱いもないから。
だから、コイツを殺せない。
立場と種族は違っても、大事な存在のために生命を賭けられる者だから。
逆の立場なら、アイツが倒されたなら、私だってそう
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