プロローグ
雪の街から#3
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ふと右手の腕時計に目をやると、午後2時43分を指していた。
どのくらい歩いて、何人の人に道を聞いただろうか?・・・
多流人(もうこんな時間か・・・)
十字わきに建つ交番のお巡りさん、
コンビニのバイト店員、
スーパーマーケットで冷凍食品を並べているおばさん、
部活終わりの地元の男子高校生、
この街のことを知ってそうな人に手当たり次第聞いたはいいのだが・・・
市役所を右に曲がるやら消防署を通り過ぎるやら、そもそもこの街にどんな施設があって、それが何処にあるのかを知らない俺には理解できない話である。
ただ、それでも親切に答えてくれたことには、たぶん感謝しなければならないのだろう。
(主に殴り字で書かれた地図を理解しようとした姿に)
ふと、レンガ壁の上にいる三毛猫に
多流人「あのぉ、道を聞きたいんですけどぉ・・・って・・・」
分かるわけないか。
自分は何をしてるんだろう。
歩き疲れたせいか、自分を見失いかけてる気がする。
「周りには聞かれてないよなぁ?」
と心配しつつ、自分の事が何だかみじめな存在に思えてきた・・・
三毛猫はあくびを欠くと、こっちをじっと見つめてくる。
三毛猫「にゃ〜〜〜・・・」
知らん、他を当たれ!!と言ってるかのように鳴き、何処かへ行ってしまった。
あの猫は何処に行くのだろうか?
今の俺と同じ孤独な道を歩んで行くのだろうか?
そんなことを考えていると、
通行人「ネコ二ハナシカケルヒトハッケン!!ドウカサレマシタカァ??」
多流人(ギクリ・・・聞かれていたんか〜い!!!・・・)
あまりにも唐突すぎて思考が止まった。
振り向くと背の高いハーフの女性が立っていた。
足を開き、両手を腰に当てて、
そこの兄ちゃん・・・困ってるみたいじゃないかい。うちが丸く解決してやんよぉww・・・
的なノリを感じたが、全くもってカッコよくない。
流石に恥ずかしかったので、つい口を割ってしまった。
多流人「ち、違うんですぅ・・・これには深いわけがありましt
通行人「ヨウコソチキュウヘェ、ナンツッテ・・・ギァァハハハハハァ・・・」
多流人「?!?!?!?!?!・・・・・・・」
思考が完全に止まった・・・
こいつは何を言ってんだぁ・・・
通行人「キミオモシロイネェ・・・ソレェジャァァ・・・」
周りの通行人は俺を見るなり憐れんだ目で静かに通り過ぎていく。
見て見ぬふりというものだろう。
ある意味してやられた。
言葉を割ってまで話しかけてきたことは意味不明で、理解できなかった。
変な人に絡まれてしまった。
多流人(頭大丈夫か。この人・・・)
無駄に体力を使ってしまった気がする。
変な女性はスキップしながら
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ