プロローグ
雪の街から#3
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立ち去り、やがてその姿は人込みに紛れて見えなくなった・・・
多流人(この街にも、あんな人いるんだなぁ・・・ある意味感心したわぁ)
気を取り戻そうとするも、さっきのがかなり来た・・・
正直、これ以上聞いても同じ答えが返ってきそうな予感がした。
多流人(聞く人を間違えたかな?・・・)
そう思えてきた。
歩き疲れたせいか、膝が悲鳴を上げて、おまけに小腹も空いてきた。
「こういう時には、ゆっくりと糖分を補給したいものだぁぁぁぁ!!」
と、訴えてるかのようにお腹が激しく鳴る・・・
近くにカフェ的な店はやっていないだろうか?
俺は携帯端末を持ってはいるが案の定ガラケーである。
だから、地図機能やサーチ機能が全くと言っていいほど役に立たない。
だから歩いて探すしかなかった・・・
更に歩くと静かなところに出た。
体が熱さと疲労でふらついてきた。
東北の9月ってまだ暖かいんだなぁ・・・
としみじみ感じる。
(今日の雪の街の予想最高気温が27度ということもあるが)
俺に魔法が使えれば、すぐにでも日傘と休憩スペースが出せるのに・・・
静かなのは、恐らく車が走る道路がこの辺では少ないからだろう。
実際に車ひとつ見ない。
途方に暮れていたとき、何処からか甘い匂いがした。
嗅覚を尖らせながら辺りを見渡すと、ケーキ屋らしき店を見つけた。
趣のある洋風の3階建て一軒家の一階部分にそれはあった。
入口のわきに立てかけられた木製の看板には、
‘千鶴華シフォン‘(Chizuke)
と書いてある。
見た感じチェーン店ではなく、個人で経営している店のようだ。
多流人(ここで休憩しよう・・・)
最後の力を振り絞り、扉に手を掛ける。
何となく、あくまでも何となくなのだが・・・
この扉の向こうに、騒がしくて楽しい日常が今か今かと攻撃態勢をとってる気がしてならなかった・・・
そうでないことを祈りたいのだが・・・
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