第四十五話 成敗その八
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「皆でやれば引越しというかお部屋に戻る作業も終わるわ」
「だからだね」
「そう、すぐにでもね」
「療養所に戻って」
「戻る用意をだね」
「別に引越し程時間はかからないわね」
「それは」
岡島は優子の言葉を聞いてだ、優花に問うた。
「どうかな」
「はい、それはもう」
「すぐにだね」
「何時でも戻れる様にしています」
「ではね」
「はい、すぐにですね」
「今日出来たら」
岡島はその優花に言った。
「そうしよう」
「わかりました、じゃあ」
「すぐに療養所に戻りましょう」
副所長も言う、今は穏やかな笑顔だ。
「そうしましょう」
「そうですね、じゃあ」
「今から」
こう話してだ、彼等はだった。
佐世保を後にして電車で一旦長崎に戻ってだ、そうして。
療養所から部屋に戻る用意に入った、その用意をしつつだ。優花は共に作業をしているこんなことを言った。
「何かほっとしていたわ」
「終わってよね」
「ええ、本当にね」
「そうよね」
「もうあの先生達は出ないのね」
「出ないわ」
事実とだ、優子も答えた。
「二度とね」
「そうよね」
「ええ、もう貴女のすることは終わったわ」
「それじゃあ」
「後は難しいお話になるわね」
「私のことでも」
「ちょっと以上にね」
その難しさは、というのだ。
「だからね」
「私のことだけれど」
「優花の手からは離れてるわ」
「そうしたお話になってるの」
「そうよ」
まさにという返事だった。
「後は私、もっと言えば」
「もっと偉い人達のなの」
「お話になるわ」
「まさかと思うけれど」
「優花も姉さんも通っていた学校と」
「姉さんの勤め先の」
「八条家の人達もね」
八条学園や八条病院を運営している八条グループの経営家である八条家の、というのだ。言わずと知れたロスチャイルドに匹敵する世界屈指の資産家だ。
「動いてくれるかも知れないわ」
「そこまでのことなの」
「それだけ貴女の事情が特別で」
男から女になったそれがというのだ。
「あの先生達のことを考えたら」
「そうした方々までが、なので」
「動かないといけないかも知れないから」
「私一人の為に」
「確かに普通ならよ」
優子は優花と一緒に優花の部屋の荷物を車までえ運び込みつつ言った、
「そこまではしないわ」
「そうよね」
「だから貴女の事態は普通じゃないの」
「男の子から女の子になることが」
「そう、だからよ」
それが為にというのだ。
「そうした方々もね」
「動いてくれるの」
「これまでは院長先生が動いてくれたけれど」
「姉さんの病院の」
「そう、けれどね」
今まではそうだった、だが今はというのだ。
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