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オズのアン王女
第六幕その五

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「ジャムみたいな」
「ジャムなの」
「そんな香りだね」
「林檎のジャム?」
 ここでも林檎をお話に出したアンでした。
「それじゃあ」
「あっ、違うよ」
「そうなの」
「これは苺のジャムの匂いだよ」
「苺ジャムね」
「そうだよ」
「こうしたところでジャムなんて」
 アンは周りを見回しました、今皆は右手は山で左手はお池です。その山とお池を見ながらそのうえで言うのでした。
「誰が近くにいるのかしら」
「そうかもね」
「山?お池?」
 アンは左右を見回してトトにさらに尋ねました。
「それで」
「山だね」
「そちらからなの」
「ジャムの香りがするよ」
「そう、山なの」
「そこからね」
「どうしますか?」
 大尉はアンにジャムの香りがすると言ったところで尋ねました。
「それで」
「そうね、何か気になるから」
「だからですね」
「行ってみましょう」
 これがアンの決断でした。
「そちらにね」
「それでは」
「山に入りましょう」
 右手のそこにというのです。
「今から」
「それじゃあね」
 トトが応えてでした、そのうえで。
 皆は山に入りました、するとすぐにです。 
 大きな黒い熊がいました、熊は皆を見て言いました。
「あれっ、ドロシー王女達じゃない」
「ええ、貴方は」
「僕は熊センターにいる熊のラッシーだよ」
 熊は名乗りました、見れば熊のすぐ後ろには見事な苺畑があります。凄く沢山の黄色い苺達が見事に実っています。
「実は最近この山で苺の栽培をはじめてね」
「それでなのね」
「今ここで苺の畑を見てね」
「ジャムも作っていたのかしら」
「あっ、わかるんだ」
「匂いがしたから」
 トトが言いました。
「だからわかったんだ」
「ああ、君は犬だからね」
「ジャムの香りでね」
「ううん、お鼻だと犬に勝てる生きものはいないね」
「僕もそう思うよ」
 トトは犬のお鼻のことには胸を張って言い切りました。
「自分でもね」
「そうだね、僕もそう思うよ」
「認めてくれるんだ」
「事実だと思うから、ただね」
「ただ?」
「実はここの苺はね」 
 ラッシーはその苺のお話をしました。
「王様にも人気があるんだ」
「熊センターのね」
「そうなんだ、王様のお気に入りの苺なんだ」
「そこまでなの」
「実は熊センターではこれまで苺を栽培していなかったんだ」
「へえ、そうだったの」
「うん、そうだったんだ」
 ラッシーはアンににこにことお話をしていきます。
「熊の農業自体知らないよね」
「そういえばそうね」
 ドロシーも言われて気付きました。
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