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渚怺のチュートリアル
プロローグ
雪の街から#1
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という理由で連れられた。
もっとも、ここに旅行しに来たことがあったということをきれいさっぱりと忘れてしまったが・・・

そんな俺は探していた・・・
この街のどこかにいる誰かを・・・
引っ越したとかもう亡くなったとか、
とにかく何処かへ行ってしまったということはこの際抜きに考える。
この街に、今も暮らしてると信じたかった自分がどこかにいたからだ。
だから、そういうのは考えず、きっといると信じることにした。
だが・・・
その人が誰で、どういう特徴があって、いつ何時に会っていたのかさえ、俺は忘れていた。
唯一覚えているのは、その人が俺と同い年の女の子だというとこだけだった。
だけど、それしか覚えていなかった。
俺はその子と何をしていたんだろう・・・
同じ趣味があって、俺と同じ性格なのだろうか?・・・
考えても分らない。
恐らく一生見つからないであろう。
だけど、そういうのは意外に身近にいるものが小説や漫画の鉄板なのではないだろうか。
正直全然大丈夫じゃなかったが、

「大丈〜夫♪きっと見つかるさ・・・」

と、心の何処かで思っていた。
むしろそうなってくれればそれに越したことはない。
そう考えることにした。

地図を確認する。
正直なことを言うと、さっぱりわからん・・・
字が汚すぎて読めないということも確かにあるが、俺はそれ以前に深刻なことがあった。
この際断っておこう。
俺は極度な方向音痴な上に地図を真面に見たことがない。
俺はこの街でこれから暮らす家に向かいたいのだが、それが何処にあるのかを知らない。
おまけに住所も知らないし、渡された地図にも明記していない。
一度だけ口頭で説明されたことがあったが、思い出せない・・・

「くそぉ・・・こんなんになるんだったら、家を出る前にもうちょっと詳しく聞いておくべきだった。」

なんてことを言うのはあまりにも遅かった。
後悔と不安しかない。

多流人「俺はど〜すればいいんだぁぁぁぁぁーーー!!」

今更悩んでも仕方がない。
もっとポジティブに考えよう。
そうだな・・・
こういう時こそ人間の本能のままに動けばいいと教わったことがある。

「勘で何とかなるだろう」

と言い聞かせ、本当に何とかなるのを切実に祈る・・・
本来なら誰かに道を聞けばよかったのだが、このときはそんなことを考える余裕はなかった。
後々になって、

「そう言えば・・・」

とかなんとか軽いノリで気付いたが、後の祭りだった・・・
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