暁 〜小説投稿サイト〜
虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 −求めたのは力では無く−
第一章 ヒーローズ オブ ヴァーチャル アンド リアリティ
Act1 英雄は現代を生きる
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言葉が生ぬるい事態に、シースナイフの持ち主だった不良Aが思わず尻もちを付き、恐怖によって顔を歪めていた。

 「ヒィイイイイイイイイ!!」
 「何なんだお前、何なんだお前っ!?」
 「クソっ!これならどうだ!」

 胸ぐらを掴んで脅していた不良Cが上着のポケットから拳銃――――いや、拳銃そっくりのガスガンを取り出して赤い髪の少年に向ける。

 「これはな!零距離なら一昔前程度のテレビのディスプレイの強度程度なら穴を空けられるんだぜっ!これ喰らって後悔しやがれ化けモンがっ!」

 恐れながらも不良Cは赤い髪の少年に向けて撃ち放つ。
 それを少年は自分の顔に当たる前に、左手でガスガンから放たれたBB弾を難なくつかみ取った。

 「なっ・・・!クソッ、クソッ!」

 またも信じがたい現実に驚いたが、直に復帰して赤い髪の少年に向けてガスガンを撃っていく。
 勿論赤い髪の少年は、自分に当たる前に全てのBB弾を左手で全て掴みとっていく。
 そうして残ったのは、もう空になったにも拘らず赤い髪の少年に向けてエアガンをひたすら構えて引き金を引き続けている顔を真っ青に染めている不良Cと、恐怖におびえる不良A・B。そして信じ難くはあるが驚きから抜け出せないでいるギルと脅されていた少年と今この場に主導権を取っていると言っても過言では無い笑顔のままの赤い髪の少年。
 そんな状況で笑顔を取り続けている赤い髪の少年に不良たちは全員腰が引けている。

 「それで如何ですかね?手品も見せましたし、そろそろ先輩方を解放してくれると嬉しいんですが」

 言葉と共に赤い髪の少年の足が一歩前へ踏み出すと、不良たちは堪らず怯えて逃げ出そうとする。

 「構いません!構いませんから助けてくださ〜い!」
 「待ってくれ!待ってくれよ〜!?」
 「ヒィ!ヒィ!」

 路地の奥に向かって我先にと逃げ出す不良たち。
 しかし一番後ろの不良Bに士郎が肩を掴んで待ったを掛ける。

 「ヒィッ!!肩掴まっ、折らないで!!」
 「怯えなくていいですよ。単にこれを回収してもらおうと思いまして」

 赤い髪の少年が渡したのはビニール袋。
 恐る恐る除くと、ビニール袋の中身は粉々に慣れ果てたシースナイフの成れの果てと刃の無い柄。
 それと多くのBB弾だった。

 「きちんと持って帰ってきちんと分別してくださいね。――――さもなければ」

 最後の言葉にドスを聞かせる赤い髪の少年の態度に、今まで以上に甲高い悲鳴を響かせながら去って行くB。
 それを見送った赤い髪の少年は、一番近くで倒れ込んでいるギルにまず手を差し伸べた。

 「立てますか?」

 それがアンドリュー・ギルバート・ミルズと赤い髪の少年――――衛宮士郎の出会いだった。


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