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虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 −求めたのは力では無く−
第一章 ヒーローズ オブ ヴァーチャル アンド リアリティ
Act1 英雄は現代を生きる
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の内の1人に背中を踏まれているので起き上がれずにいる。
 そして此処は薄暗い路地の為、本来の歩道から離れているので誰も気づかないだろう――――いや、中には気づいた通行人もいたが見て見ぬふりでさっさと歩いて行ってしまった。
 ギルはそれに悔しくはあるが失望はしなかった。
 要らぬトラブルに巻き込まれたくないと言う思考こそが常道だ。
 それこそ見知らぬ他人のために体を張る馬鹿などそうはいない。
 だがいい意味でギルの予想を裏切り、赤い髪の少年が1人路地に足を踏み入れて此方に近づいて来たではないか。

 「ん〜?また正義の味方面した少年君が来たぞ?」
 「もう、メンドくせぇから、これ見せればビビるだろ?」

 不良の1人が取りだしたのはナイフ――――しかもバタフライナイフでは無く保管時に鞘に納めて保存する構造のシースナイフだ。
 何故そんなバタフライでは無く、そちらなのかはどうでもいい事だ。
 それを赤い髪の少年に向けてチラつかせる不良。

 「おい小僧。これ見て分かるだろ?俺達はコイツから金巻き上げたいだけなんだ。見逃してやるから失せろ。それともお前がコイツらに代わって金くれんのかよ?」

 ギャハハハと、下卑た笑い声が路地に響く。
 その声に胸ぐらを掴まれてる少年は悔しそうに顔を俯かせ、ギルは自分の無力さに腹を立てつづけている。
 しかし赤い髪の少年は彼らの笑い声を無視して言う。

 「御2人を離してくれませんかね?2人は学校(うち)の先輩方なんですよ」
 「あ?俺達の話聞いてたのか?」
 「まあまあ、ちょっとした手品を見せてあげますから」
 「は?って、俺のナイフ!何時の間に!」

 彼我の距離は5メートルも離れていると言うのに、不良の手の中に在ったナイフはいつの間にかに赤い髪の少年の手の中に移っていた。

 「手前ェ!返せよ!それ高」

 不良が自分のナイフを取り返そうと足を踏み出そうとした所でそれは起きた。

 「なっ!?」
 「「は?」」

 ゴキっとした音の後、シースナイフの刃は少年の右手に、そして左手の中には綺麗に刃の部分が無くなっている柄だけが有った。
 張りぼてでも無ければそう簡単にナイフの刃と柄が泣き別れ風に切れると言う事は無い。
 勿論素手であれば尚更だ。
 しかし現に不良たちの前で赤い髪の少年がその信じられない事をやってのけたのだ。
 驚愕の光景に固まる不良たちだが、赤い髪の少年は本番はこれからですと、笑顔で言う。
 刃の部分だけのシースナイフを握った直後、先とは比べ物にはならない擬音が少年の右手の中で鳴り響き、不良たちに見せるように開いた右掌の上にはあら不思議。
 文字通り粉々になった元シースナイフ(刃のみ)の成れの果てがそこに在った。
 その驚愕なんて
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