43部分:魔剣その四
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フォフォフォ、待っておったぞ、リーンよ」
宴の時とは比べるまでもない位好色な笑みを浮かべリーンににじり寄って来る。
「さあ大人しくしておれ。悪いようにはせぬ」
よく童話や古典的な劇で見るありたきりの悪党の言葉である。当然リーンはそんな言葉を信じない。捕まえようとしたブラムセルの腹を思い切り蹴飛ばした。
「ぐぉっ!」
しかし男は怯まない。尚も女に覆い被さろうとする。頬をひっぱたかれ顎にアッパーカットをお見舞いされた。特にアッパーカットは効いたらしい。骨が派手に折れる音がした。しかし怯まない。尚も来る。引掻かれる。紅のマニキュアが塗られた長い爪が絹の衣を切り裂く。衣がズタズタにされる。余りの痛みに怯んだら蹴りが急所に入る。ブラムセルの傷は何時しか生きているのが不思議な程にまでなっていた。しかし諦めない。血塗れの死後五十年は経たかの様な姿になってもまだリーンににじり寄って来る。真に恐るべきはその色欲である。
身体が傷で赤く青く白くなり服もボロ雑巾の様になろうともブラムセルは立ち上がりリーンに襲い掛かろうとする。その時だった。
「いい加減にしな、このヒヒ爺!」
部屋に乱入して来たレイリアの右ソバットがブラムセルの鼻っ柱を直撃した。ブラムセルは思い切り吹っ飛び派手な音を立てて壁に背を打ちつけ目を回しそのまま動かなくなった。
「リーン!」
レイリアがすっかり怯えきっているリーンへ駆け寄り抱き締めた。
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