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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三話 弱いんです
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通信を切った。思わず溜息が出た。サディストの亡命者とマゾヒストの監視役? いったい何の冗談だ? 何時から俺は彼女の専属のカウンセラーになった? こんな日がこれからも続くのか……。
それにしてもヴァレンシュタイン中尉はサドか……。彼のファイルに記載するべきかな? まあ少尉も少し興奮していたようだし様子を見たほうが良いだろう。
宇宙暦 792年 7月20日 ハイネセン 後方勤務本部 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
ミハマ少尉、いやサアヤが俺の隣で仕事をしている。可愛いんだな、彼女。笑顔も良いし、甘やかな声も良い。一生懸命なんだけど所々抜けてるところも良い、癒し系そのものだよ。俺より三歳年上だけどそんな感じは全然しない。
情報部って感じじゃないよ。お嫁さん向きだ。帝国にいたアデーレ・ビエラー伍長を思い出す。彼女も面倒見が良くてお嫁さん向きだったな。随分と良くしてもらったっけ……。今頃どうしているのか……。
サアヤが俺に笑顔を向けてきた。俺も笑顔で答える。最初の頃は俺もちょっと問い詰めちゃって怖い思いをさせたみたいだけど最近は大丈夫だ。俺がスパイじゃないっていうのも分かってきただろう、そろそろお別れかな、寂しくなるな。
「ヴァレンシュタイン中尉、ミハマ少尉、ちょっと来てくれ」
キャゼルヌ大佐が俺達を呼んだ。思わずサアヤと顔を見合わせ、キャゼルヌ大佐の下に行こうとすると彼は席を立ち私室へと向かった。
俺はもう一度サアヤと顔を見合わせてからキャゼルヌ大佐の私室へと向かった。私室での話か……、周囲には聞かれたくないということだな。サアヤが情報部に戻るということかな、ついにその時が来たか……。
部屋に入り簡易の折りたたみ椅子に腰を降ろすとキャゼルヌ大佐が話を始めた。
「今度、第四艦隊がアルレスハイム星域に向けて哨戒任務にでる。貴官達は第四艦隊の補給担当参謀として旗艦レオニダスに乗り込んで欲しい」
第四艦隊? パストーレ中将かよ、あの無能の代名詞の。しかもアルレスハイム? バグダッシュの野郎、何考えたんだか想像がつくが全く碌でもないことをしてくれる。俺は前線になんか出たくないんだ。
後方勤務で適当に仕事をしながら弁護士資格を取る。大体三年だな、三年で弁護士になる。その後は軍を辞め弁護士稼業を始める。そして帝国がラインハルトの手で改革を行ない始めたらフェザーン経由で帝国に戻ろう。そして改革の手伝いをする。それが俺の青写真なんだ。
「小官は艦隊司令部勤務などはした事が有りません。補給担当参謀と言っても何をすれば良いのか分かりません。足手まといにしかなりませんが?」
「心配は要らない、第四艦隊のタナンチャイ少将が貴官等に教えてくれるはずだ。今回は研修のようなものだ。勉強だと思え」
変更の余地無
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