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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三話 弱いんです
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す。大尉を知っているのかしら?

「少尉、バグダッシュ大尉に伝えてください。監視者は一人で十分、増やすのは無意味だと」
「増やす?」
増やすって誰を? 新しく此処に誰か来るのでしょうか? 疑問に思っているとヴァレンシュタイン中尉がにっこりと微笑を浮かべました。怖いです、どうして笑顔が怖いんでしょう。

「少尉が監視者だとばれた以上、私に利用されないようにキャゼルヌ大佐に監視を御願いしたという事です。少尉も監視されるのは嫌でしょう? 言ってくれますよね」
「……はい」
段々逆らえなくなります、どうしよう……。



宇宙暦 792年 7月 9日 ハイネセン 情報部 バグダッシュ大尉



「どうした、ミハマ少尉」
『あの……』
スクリーンに映るミハマ少尉は泣き出しそうな顔をしている。はて、何が有った?

「少尉、はっきりしたまえ、何か有ったのか? 具合でも悪いのか?」
『あの、バレました』
「少尉の正体がばれたのなら一昨日聞いた」
『そうじゃ有りません。大尉が私の上司だとばれたんです』
「……」

なんでそれがばれる。どういうことだ? そう思っているとスクリーンに映るミハマ少尉がマシンガンのように話し始めた。俺が一度もヴァレンシュタイン中尉を見ないから不審に思われた、自分が緊張感を見せたから気付かれた、キャゼルヌ大佐に監視役を頼むのは自分が頼りないからなのかとか、泣きじゃくりながら訴えてくる。俺としては呆然と聞いているしかない。

『それに、ヴァレンシュタイン中尉はサドなんです』
「サド? 少尉、貴官は変なプレイを強要されたのか?」
思わず縄で縛られている少尉の姿が眼に浮かんだ。うむ、なかなかいける。

『変なプレイ? 変なプレイって、そんなものされてません!』
ミハマ少尉が顔を真っ赤にして抗議してきた。だったら問題ないだろう。なんだってそんなに騒ぐんだ。

『ヴァレンシュタイン中尉は私を苛めて喜んでいるんです』
「……」
『三つも年下の男の子に苛められるんですよ、大尉』
ぎゃあぎゃあ騒ぐな、大した事は無いじゃないか。

『それに私、苛められると段々抵抗できなくなるんです』
向こうがSならこっちはMか……。それのが問題だろう、早く言え! お前はいつも肝心なことを最後に言う。

「少尉、若い男というものは身近にいる美人をつい苛めたくなるのだ。特に相手が年上なら尚更だ。余り気にせず、もっとおおらかに構えるんだ」
『おおらかに、ですか』

「そうだ、僕チャン可愛いわね、お姉さんが良いこと教えてあげるぐらい言ってやれ。向こうも喜ぶぞ」
『そうでしょうか』
「そうだとも、俺が保証する」
但し、貴官がそれを言えたならだ。

それから五分くらい愚痴をこぼしてからミハマ少尉は
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