第74話 少しだけの過去
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しょ!そうでしょう!」
いつもお姉さんぶっている食蜂が珍しくはしゃいでいるのを見て自分の事のように嬉しくなるララ。
「みさきさんは此処の事どー思うかな?」
「私?」
「うん、僕は閉じ込められた世界に居るって分かるんだ。みんなの当たり前が僕には出来ない事も......」
ララは自分の心臓部分を服の上から掴んだ。
そこは彼を苦しめる病魔が潜んでいる場所だ。
「別に出たら出たで大変だと思うけどぉ。それに病気だから仕方ないんじゃない?治った時に付き合うわよぉ」
「うん......そうだね。この機械もいつか外れて自由に外を思う存分走りたいな」
その時のララの表情は何処か寂しげで哀しみを帯びている事には食蜂は気が付かなかった。
彼の命のタイムリミットは既にかなりオーバーしていることに......
******
数日後
「ねぇ......軽く約束しちゃったんだけどぉ。ララはいつになったら病気が治るのかしらぁ?」
食蜂が噂のトゲトゲアロエ野郎を廊下で捕まえると腕を頭の上で組みながら質問した。
「ずけずけ訊くねー」
「......」
「ララが外に出られるようになったら、海を見に行くんだからぁ」
シャボン玉であのテンションの上がり具合だから広大な大海原を見せたら、感動で失神しゃうかもぉ
少しだけ悪戯心が芽生えた食蜂は自分の頭の中で無邪気に笑うララを想像してどうやって落としてやろうかと画策しているが......
「んー......難しいね。次の実験で多分死ぬから」
「......えっ?!」
白ゼツの鋭いキバのような歯がギラリと光って後ろにいる食蜂をまるで揶揄うかのように自然に断言した。
「ど、どういう事?」
「だって身体なんてとっくに限界来てるみたいだし、生きているのが不思議なくらい」
背筋に嫌な汗が流れた
初めて過呼吸になりかけた
全てがぐるぐるして頭が踏み付けられた気がした
死ぬ?
あの子が......
まだ、色々したい事があるのに?
顔面蒼白になる食蜂を揶揄するように楽しげに語り始めるゼツ。
「君のおかげで追加の実験が出来るからね。ん?ひょっとして君のせいでかな?まあ、いいや。もう投与は始まる予定だし」
「くっ!?」
食蜂は踵を返して一心不乱に走り出した。
運動が苦手とか、一番走るのが苦手だなんて言っていられない。
走る音が遠退くのを肌で感じながらゼツ達はニヤリとネバネバした笑みを浮かべた。
「少シ喋リ過ギダ」
「良いじゃん。器としてダメだけど輪廻眼へ昇華実験が出来るのも全てはあの娘のおかげ。御褒美だよ」
「良ク言ウ......コノ後ドンナ行動ニ出ルカ分カリ切ッテイル癖ニ」
「そうだねー。どこまで足掻くか楽しみだけど」
ゼツは研究
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