第百三話 ハウステンボスその三
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「何といいましても」
「やっぱりそうですよね」
「お金がありますといざという時にもです」
「困らないですからね」
「そうです」
まさにというのだ。
「ですから八条家もです」
「お金はありますが」
「無駄遣いはしません」
このことにも気をつけているのだ、八条家も。
「グループ全体で」
「お金を使うには慎重にですね」
「そして的確にです」
「そのことはしっかりと、ですね」
「しないとです」
それこそというのだった、畑中さんも。
「いざという時困ります」
「そういうものですね」
「そうです」
まさにという返事だった。
「ですから」
「この一千万も」
「節約して使わせて頂いています」
「そのことはお願いします」
僕は確かに八条荘の管理人だ、けれど実際のことは全部執事である畑中さんにお任せする形になっている。だからこう畑中さんに言った。
「お金のことは」
「それでは」
「それで今回の旅行は」
「はい、お金のことはです」
「心配無用ですね」
「心置きなく楽しまれて下さい」
「わかりました」
僕は畑中さんに微笑んで答えた。
「そうさせてもらいます」
「それでは、私もです」
「楽しまれますか」
「ワインを飲み」
畑中さんが楽しみとして最初に出したものはこれだった。
「そして美味しいものと景色もです」
「そうしたものもですね」
「楽しませて頂きます」
微笑んだ声での返事だった。
「是非」
「じゃあ皆と一緒に」
「楽しませて頂きます」
こう僕に答えてくれた、そして。
僕達はそのホテルに入った、西洋風の例えるならフランスにあるみたいな白い大理石のホテルだった。その赤絨毯のロビーを見ただけでだ。
詩織さんは驚いてだ、こんなことを言った。
「高いわよね」
「ええ、間違いなくね」
美沙さんも言う。
「一泊何万円とか」
「そうしたところよね」
「こんなところに泊まるなんてね」
それこそとだ、美沙さんはロビーのふわふわとした感じのソファーも見つつ言った。
「あたしはじめてよ」
「私もよ」
詩織さんもだった。
「こんなところは」
「旅館はあるけれど」
「こんなところはね」
「ないから」
「泊まっていいの?」
「そうも思うわよね」
「これはね」
二人で話す、そしてだった。
詩織さんはあらためてだ、美沙さんにこんなことを言った。
「お部屋の中がね」
「想像つかないわよね」
「ちょっとね」
「これはね」
「ヨーロッパのお部屋だと思うけれど」
「どんなのかしら」
「あっ、確かにいいお部屋だけれど」
僕は戸惑う二人に話した、受付で畑中さんが手続きをしてくれている。
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