第百三話 ハウステンボスその二
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「あの方が」
「親父が」
「何でも世界的な富豪の方の手術をされて」
「報酬を弾んでもらったんですか」
「億単位のお金が入ったそうです」
「それで今はお金があるので」
「一千万出して下さいました」
その億単位の報酬の中からというのだ。
「笑顔で」
「何か親父らしいですね」
「そうですね」
「親父は腕は確かなんで」
医者、外科医としてのそれはだ。
「そういうことも多いですね」
「多くの報酬を貰えることが」
「それで、ですか」
「今回は出して下さいました」
そうしてくれたというのだ。
「一千万」
「凄い額ですね」
一千万だ、幾ら何でも慰安旅行の予算じゃない。
「そこまでポン、ですか」
「はい、そして八条分教会にもです」
「同じだけですか」
「寄付されて他の場所にも」
「凄いことしましたね」
「お金はです」
畑中さんは同じのお金の使い方について僕に話してくれた。
「また稼ぐものだからと」
「確かにそうした考えですね」
だから金遣いも荒い、飲んで遊んでだ。ついでに言うと車も好きだ。けれどこちらは買い換えたりすることはしない。
「実際そうしていますし」
「あの方はどなたも手術されますね」
「お金に困ってる人からは受け取らないことも多いですが」
これ位の気風がないと駄目だとだ、いつも言っている。
「ですがお金持ちからは」
「その人が出すだけですね」
「受け取りますからね」
「それで、です」
「今回もですか」
「億単位で頂いたそうなので」
「僕達の旅行に一千万ですか」
それだけの物凄い額をだ。
「出してくれたんですね」
「そうなんですね」
「そして余った分は」
「八条荘の予算ですね」
「それに入れますので」
「相当余りそうですね」
一千万という額からだ、僕は考える顔で言った。
「それだと」
「はい、実際にです」
「相当余りましたか」
「むしろ旅行にはあまり使わず」
「それで、ですか」
「以後の運営費に回せました」
八条荘のそれにというのだ。
「感謝しています」
「そうですね、八条荘の運営費は家賃はあまり貰ってなくて」
学生が住んでいるのだ、家賃が高い筈がない。
「八条家が出してくれてますからね」
「義和様のお給料も」
「お金の心配はなくても」
「やはりそれだけ運営費が入りますと」
臨時でだ。
「有り難いことです」
「やっぱりそうですよね」
「お金はあるに越したことはありません」
この揺るぎない現実もだ、畑中さんは僕に話してくれた。
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