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穴熊のトミーのお話
第二章
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「持っていたな」
「ううむ、してやられたな」
「してやられたことはともかくとしてだ」
「服のことはか」
「そうだ、しっかりとしないと」
 よくないというのです、いつも泥だらけだとです。
 かくして狐どんはバウンサーさんとピーターラビットのお父さんにトミーの家の前に集まってもらいました。そしてです。
 三匹でトミーのお家の玄関を見ましたが。
 まずはバウンサーさんがです、顔を曇らせて言いました。
「こんなのだとね」
「全くですね」
 ピーターのお父さんもいいます、その玄関を見て。
「玄関の前がくぼんでいて」
「雨になるとだよ」
「すぐにこのくぼみに水が溜まって」
「そこに足を入れたら」
「足も汚れますし」
 それにです。
「服だって」
「汚れることも当然だよ」
「全くですね」
「これは駄目だよ」
 バウンサーさんはパイプで煙草を楽しみつつ言います。
「道理でトミーの服はいつも汚れている筈だよ」
「全くです」
「それにね」
 しかもとです、バウンサーさんはさらにお話しました。
「玄関は只の穴で」
「扉もないですから」
「雨が入ってきて家の中にまで泥が入るから」
「余計に駄目ですね」
「彼はそうしたことには無頓着なんだよ」
 狐どんが二匹にお話します。
「どうにもね」
「ううん、無神経なのかな」
「そうですね」
「こうしたこともしっかりしないと」
「駄目ですね」
「穴を深く掘ってその奥に住んでいたら雨は入らないし濡れない」
 そこまで入ればです。
「もう快適だからとね」
「そして汚れてもだね、服が」
「気になるタイプじゃなくて」
「そこはもうわしが注意したよ」
 狐どんは二匹の兎にお話しました。
「ちゃんと洗濯もする様に、そのうえで」
「お家の前がくぼんでいて」
「玄関もなくて」
「家に入っても泥で汚れる」
「そうなってしまうのですね」
「そうだね、じゃあここは」
 狐どんも言いました。
「くぼみを埋めて玄関を作る」
「そうしよう」
「それで問題ないですね」
 バウンサーさんとピーターのお父さんは狐どんの言葉に頷きました。
「では早速」
「その二つにかかりましょう」
「全く、トミーときたら」
 狐どんはトンカチや鋸を取り出しつつぼやきました、玄関の扉を木で作る為です。家に雨が入って家の前が濡れない様に。
「いい加減なものだよ」
「おおらかどころじゃないね」
「服のことに無頓着過ぎますね」
「服に泥があっても平気とは」
「しかもお家に玄関がなくてもいいなんて」
 バウンサーさんとピーターのお父さんもいいます。
「全く以て」
「困ったことですね」
「全くだよ、まあお礼のスコッチはちゃんと頂いて」
 もう玄関の扉を作りだしている狐どん
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