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白く咲けるは何の花ぞも
一.岡豊の姫若子
一章
二の2
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はないな」
「じゃあ、普段はそいつと寝てるのか」
「……」

 それについては答えず、元就は「もう行って良いか」と不遜な態度で元親に聞いた。
 この媚びない態度が元親には新鮮で、彼に対してますます興味が湧いてきた。

「何を……っ」

 懲りずに再び、元就の腕を掴んで自分の方へと引き寄せる。

「俺もあんたが乱れる様を是非とも拝んでみたいんだが……、俺に抱かれるのは気が進まないか?」
「ふざけた真似を」
「いいじゃねえか。どうせ明日にはここを発つんだろう。俺も立場がある身だ。後腐れなんかねえし、後でしつこくあんたにつきまとうこともこの土佐の地にいる限り、出来やしねえよ」

 元親の口説き文句に納得したのか、しないのか。
 黙って彼を見上げていた元就だが、短く息を吐き出すと、元親に向かって此方へ来いと無言で指を拱いた。
 冷たそうな表情と蔑む視線が何とも言えず艶っぽく、元親の腰も熱を生んでじんと疼き出した。
 気位の高い、気の強そうな女が元々、元親の好みなのだ。
 靡かない女を愛撫で蕩けさせ、自ら腰を振るような淫乱に豹変させるのが愉しくて女遊びは止められない。
 この相手はどんな表情を見せてくれるのかと想像しただけで、元親の若い身体は即座に反応を示した。
 細い顎に指を滑らせ、弄る。
 覆い被さって、肉薄の唇を塞ぐと元就の指を搦め捕って自身の股間へと導いた。
 と同時に彼の尻を掴んで両手で揉みしだく。
 余程熟れているのか、元親の指が彼の後孔を衣服の上から弄っただけで、元就は吐息のような呻き声を洩らした。
 元親の陰部をなぞる指に力が籠もり、なぞっていただけの指の動きがねっとりした愛撫へと変化する。

「姫若子の割には、随分立派なものをぶら下げておるのだな。我が貴様を抱いてやろうと思うたのに、これはとんだ心得違いだった」
「そりゃ期待に添えずに失敬したな。どうだ、あんた次第でもっとデカくなることも出来るが。そのお上品な口で吸ってくれねえか」

 ふん、と短く鼻で嗤う。
 冗談を解する心はあるらしい。

「貴様のものをしゃぶれと申すか、この我に」
「無理にとは言わねえよ。あんたじゃ噛み切られそうだからな」
「左様。このような不埒なもの、しまっておけ」

 おいおい、まさかここで終わりじゃねえだろうな、と慌てた元親だが、嬉しいことに彼の期待は裏切られた。
 元親の襟を掴んで自身の方へと引き寄せた元就は、先程より深く唇をふさいで来た。
 すぐに湿った舌が巻き付き、ねっとりした呼吸を繰り返しながら、絡んで来る。
 互いに衣服を剥ぎ取りながら、性急に身体を繋ぎ合わせた。

「綺麗な肌してやがる。あんた本当に男か」
「貴様の方こそ、変わった目の色をしておるな。南蛮人の顔と似ておる」

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