第7章 聖戦
第163話 トリステインは今
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対して国内世論が沸騰したから。
まして、その戦闘。トリステインとアルビオンとの間で行われた戦闘がトリステイン側の圧倒的な……むしろ神がかり的な勝利で終わった事もその事に対して拍車を掛けた。
貴族に有るまじき不意打ちを行ったアルビオンを打つべし、と言う異常に強硬な世論が。
結果、トリステインとしては引くに引けない泥沼の戦争へと突き進んで行く事となった。
もし……。
もし、その部分にゲルマニアの細工が存在していたとしたのなら。そのトリステイン国内の世論をゲルマニアが操作していたとしたのなら。ゲルマニアがアルビオンとの戦いに対して戦力を送ると裏で約束をしていたとすれば……。
しかし、う〜む、ややこしいな。
「つまり、トリステインはアルビオンとの戦争に負けて、去年の年末にアルビオンに攻め込んで居た地上部隊は追い返され、逆にアルビオン軍にラ・ロシェールの港に攻め込まれた挙句、其処で指揮を執って居たアンリエッタ女王は行方不明に。
そして、その前日に攻め込んで来て居たゲルマニア軍を、王都で反乱を起こした現王家に不満のある貴族たちが受け入れ、マリアンヌ皇太后の身を押さえた彼らが現在のトリステインの実質的な支配者となった。
そう言う事なのか?」
それで、その事に不満と、かなり大きな危機感を持った新教寄りの南部の貴族たちが寄り集まって国を作り、その混乱に乗じてガリアも王太子の護衛騎士団とタバサと言う切り札を場に晒した……と。
トリステインの立場は微妙だが、元々、国力に見合わない無理な戦争をアルビオンに吹っ掛けた段階で、こうなるリスクは織り込み済みでしょう。それでも、虚無魔法を押し立てて、戦争に勝てたなら得る物は大きいと考えて、アルビオンとの戦争に踏み切ったはず。
もっとも、俺の記憶が……。前世の記憶と今の人生の配役に大きな違いがないのなら、アルビオンのティファニア女王も虚無の担い手。俺が立てた仮説。虚無に魅入られるのは王家の血を引く不幸な人物と言う設定にも当て嵌まる。
故に、最後の最期の瞬間まで、その虚無魔法と言う切り札を隠し通したアルビオンがトリステインとの戦争に勝つのも理解出来る。
おそらく、戦乱が続いたアルビオンには真面な海軍……と言うか、空軍力が不足していて、トリステインの侵攻軍。無敵艦隊を水際で阻止する事が出来ず、最初から本土決戦を挑む心算でトリステイン軍の上陸を許し、そのままズルズルと撤退する振りをしながら焦土作戦を展開。
本来なら首都ロンデニオンに近いはずのポーツマスの軍港にトリステイン軍が上陸する事もなく、何故か遠いロサイスに上陸したのも、もしかするとアルビオン側に何等かの策謀があったのかも知れない。
そして、伸び切ったトリステインの補給路を海賊行為で脅かしながら機会を待っていたの
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