第7章 聖戦
第163話 トリステインは今
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も無残な状態となったのです。
まるで見て来たかのような口調でそう言うダンダリオン。
しかし……マザリーニ枢機卿。それに投石。
心の中で何かが引っ掛かっている俺。いや、其処に繋がる更なるキーワードはアルビオンと清教徒革命。
つまり、トリステインで起きたこの事件は地球世界のフランスで起きた『フロンドの乱』なのでは?
あの事件は確か、三十年戦争を継続する為に重税を課した事に対して貴族や民衆が反発した為に起きた事件。
そして現在のトリステインはアルビオンとの戦争を行う為にかなりの重税を掛けているのは事実。更に言うと、然したる理由もなく誅殺された自らの両親。その仇を見事に打った白き国の聖女ティファニアの治める国に対して、戦争を吹っ掛けた現トリステイン王家に対する反発……旧教を信じている貴族や民衆の中に、ある一定以上の不満が存在していたのも間違いない。
今のガリアに枢機卿はいない。完全に国王が親政を行って居る以上、ガリアにはマザリーニ。……ジュール・マザランが現われる事はないので、地球世界で起きた事件の歪なパロディ化の如き事象が起きるのなら、フロンドの乱がトリステインで起きる可能性は高い。
そして――
そう、初めからトリステインには貴族や民衆が反乱を起こす下地はあった。
更に、根こそぎ動員を行い、その全兵力をアルビオン戦に投入していたのも事実。
更に更に、旧教が非常に強いゲルマニア。そもそも皇帝自体が還俗する前は旧教の聖職者だった。そのような国に対して、かなり新教寄りのトリステイン王家。元々水と油に近い相手を信用し切って、無防備な背中を晒したトリステイン王家の方にもかなりの非があるのは間違いない。
大体、アルブレヒトが王位を得た経緯は、トリステイン王家の方も知っていたはずなのだが。
「国境付近に領地を持っていたヴァリエール公爵一家の生死は不明」
王都に居たマリアンヌ皇太后はゲルマニアを支持する貴族たちの手により拘束され、マザリーニ枢機卿は拘束後、生死不明。
アルビオンとの戦争の指揮をラ・ロシェールで執っていたアンリエッタ女王も同日夜、逆に攻め込んで来たアルビオン軍との戦いの後、行方知れずに。
無機質な声で事実だけを淡々と告げるタバサ。
国王不在の王都では不満のある貴族や民衆の蜂起。国境からは場違いな工芸品で武装したゲルマニア軍の侵入。
こりゃ、余程の諜報組織を有した王家でなければ。更に、強力な軍を持っていなければこの企ては成功するしかない。
つまり、トリステインに対してもガリアと同じような策謀をゲルマニアは企てていた、と言う事。そもそも、トリステインがアルビオンとの戦争になだれ込んで行った理由は、そのアルビオンが行った宣戦布告なき戦争に
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