第四十五話 成敗その一
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第四十五話 成敗
龍馬達は優花の前、衝夫達と対峙する形で出た。そしてだった。
副所長がだ、四人を代表して衝夫に言った。
「お話は聞かせてもらったわ」
「何だあんた」
「この人は確か」
鍛冶元は副所長を見て言った。
「療養所の人だ」
「こいつのいた」
「ああ、そうだ」
優花を指差して問うた衝夫に答えた。
「中にいたのを見た」
「そうですか」
「そしてこっちの兄ちゃんもだ」
岡島も指差して言った。
「療養所にいた」
「それじゃあ」
「ええ、私達は蓮見さんの傍にいるのよ」
副所長は衝夫のその顔を見据えて答えた。
「保護者、友達よ」
「そうだっていうのか」
「そうよ、貴方達自分が何やってるかわかってるわね」
「わかっていたら何だ」
「脅迫よ」
それだとだ、副所長は衝夫達にはっきりと言った。
「完全に」
「ばれないといいんだよ」
「それが答えね」
「ばれないと何やったっていいんだよ」
衝夫は自分達の倫理観を堂々と言ってそれを返答とした。
「捕まらないからな」
「あんた学校の先生だよな」
龍馬もだ、衝夫を見据えて問うた。
「そうだよな」
「ああ、そうだよ」
衝夫は龍馬を見下した目で見て言葉を返した。
「だからこう言うんだよ」
「ばれないといいのか」
「学校の先生は悪事を隠せるからいいんだよ」
「そんな人間か」
「だったらどうなんだ」
「そうやって何人の娘泣かしてきたんだ」
「そんなの覚えているか」
あまりにも数多いからだけではない、罪悪感がないからいちいち覚えていないのだ。これが衝夫という人間なのだ。そして鍛冶元もまた。
「何人かなんてな」
「屑だな、あんた」
「屑!?俺は先生様だぞ」
「何が様だよ」
「学校の先生なんだぞ」
「先生だからっていうだけで偉いのかよ」
龍馬は怒った顔でだ、衝夫に言い返した。
「それだけで」
「そうだよ、先生ってのは偉いんだよ」
その仕事にいるだけで、というのだ。
「御前等生徒とは違うんだよ」
「こんな考えだからですね」
岡島も衝夫の言葉から彼の本質を理解して副所長に言った。
「やりたい放題やれるんですね」
「そうね、自分を偉いって思ってるからこそ」
「そういうことですね」
「職業に貴賎はないんですがね」
「この先生の頭では違うのね」
「偉いから何をしてもいいっていうのは」
「完全にならず者の考えね」
まさにそのものだというのだ。
「本当に」
「そうですね」
「おいおい、偉いに決まってるだろ」
鍛冶元も言う。
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