36部分:神剣その六
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神剣その六
シャナンがイードの廃墟で二人の盗賊少女と会う少し前解放軍八万は二手に分かれ進軍していた。一方は騎兵隊や天馬騎士、魔道師等からなる主力部隊で一路メルゲンへ向けて南下していた。一方はセリス直率の軽歩兵隊でシャナンが向かったイードへ進んでいた。主力部隊の先陣はデルムッドとフェルグス、ディムナが務め、グレイドとセルフィナ、そしてセイラムが先導となっていた。
「砂漠だからどんな酷い進軍になるかと思ったけど予想したよりずっと楽だな」
デルムッドは馬を進めながらフェルグスに話し掛けた。
「リボーからメルゲンには路が整備されているからな。だから砂に足を取られたりしないんだ」
「そうだったんだ。イード砂漠っていえば砂に足を取られて進めないってイメージがあるからな。俺結構心配してたんだ」
二人の隣のディムナが言った。
「砂に足をか・・・。アカネイアの伝説にもそういった場面があったな」
「あれだろ、単身砂漠を突っ切る場面」
フェルグスが言った。
「竜や凶暴な蛮族と闘いががら進むんだよな。まさかここの魔物もそんなんじゃないよな」
デルムッドが表情を暗くした。
「アカネイアにいるっていう炎を吐く飛竜やバレンシアのガーゴイルとかか?」
「それかトラキアがあのイードを秘密の基地にしているかだな。あのトラバント王だ、隙あらばレンスターを手に入れようと今でも考えているぜ」
「補給は?」
トラキア説を述べたフェルグスにディムナが問うた。
「ダーナがある。今あの街を牛耳っているブラムセルって奴は胡散臭い奴だ。レンスターに媚を売りながら裏でトラキアと繋がっているなんて事は十分考えられる。まあ飛竜だろうがトラキアだろうが腕の発つ弓兵がいれば恐るるに足らず、だ。頼むぜディムナ」
「あ、ああ。照れるな」
和気藹々と明るく話す三人を見ながら先頭を進むグレイドとセルフィナは微笑んだ。
「仲が良いわね、三人共」
セルフィナは豊かな群青色の髪をたなびかせながら微笑んだ。美しく気品ある笑顔だ。
「ああ、あの三人だけじゃない。解放軍は本当によくまとまっている。セリス公子、若いながら将として見事な人物だ」
「そうね。ところでこの砂漠の魔物って何なのかしら。まさか本当に飛竜やトラキア軍だとしたら・・・」
グレイドは足下の砂を見ながら妻に言った。
「私はゾンビではないかと思う。イードでは多くの者が殺された。怨念も強い事だろう」
「ゾンビね・・・・・・。バレンシアの邪法で妖術師達により動かされる生ける骸・・・・・・」
「あくまでも予想だ。本当にいるのなら盗賊か何かであって欲しい」
「ええ」
二人の後ろを進んでいたセイラムが不意に立ち止まった。
「あれ、どうしたんだい?」
デルムッドが声をかける。だがセイラムの耳にその言葉
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