監禁は犯罪です。
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は現実となる。
「伏せて!」
あたしは顕れた玲瓏を握りこむと、狭い箱の中、できるだけ男を傷つけないようにと短く叫んだ。しかし、向こうの声が聞こえないのならこちらも推して知るべし。男は動くこと無く呆然と、あたしを見ていた。まぁいいか、小さい箱だけど、斬れるところはどこでもある。
あたしは男を動かすのを諦めて、確実に狙ったところを斬ろうと、箱の表面にぴたりと掌をつけた。
壊れろ!
(ピシリ…)
「えっ!?」
玲瓏を振りかぶり、体重を乗せてついた手のところに、細かい亀裂が無数に走った。それはあたしが体勢を立て直す間もなく、あっという間に砕けて散る。どれだけ脆かったのかの思うぐらいに、そのヒビは箱全体に広がり、見る間に散と剥がれ落ちた。
「あわぁあ!?」
しかしね、人間様はそんな急な事態に簡単に対処できるようにはなっていないのですよ!
とりあえず男を傷つけてはいけないと咄嗟に抜き身の玲瓏を手放したのはいいけれど、所詮そこまで。あたしは手をついた勢いのまま、男の胸元に頭から飛び込んでしまった!箱が乗っていた花台も共になぎ倒され、ガシャーン!と盛大な音が鳴る。箱の破片が、薄桃色の花びらと共に散る。
まずい、室外のざわめきが聞こえる。人が来る前にもう一人も助けなきゃ!あたしは跳ね起き…ようとして、後頭部と背に男の腕がまわっているのを知る。庇おうとしてくれたのか。自分こそ、あたしの体重を受け止めながら背から落ちたのだ。痛くない訳が無い。怪我だってしているかも知れない。でもそんなことを確かめるヒマすら無い。
「ありがとう。はやく逃げて」
あたしはニッと笑うと、背から男の腕を乱暴にならない程度に急いで外し、玲瓏を拾うとすぐさま隣の箱に向かう。
こっちは楽だ。寝ている?から、動かれて一緒に斬ってしまう心配が無い。
あたしは男の左横の空間に刃を入れ、ざくりと大胆に切り落とした。
剣は擦っていないはずだけれど、異変を察知したのか、箱の中にいた男の目がゆっくりと開く。
「ちょっと!起き抜けで悪いけど、寝ぼけてるヒマは無いわよ!はやく逃げるのよ」
がくがくと男を揺り動かしながら、怪我をしないよう地に引きずり下ろす。
そんなことをしている間にも、部屋の板戸は外からガタガタと揺らされている。
「あんたもなにやってんの!はやく!この人連れて逃げて!とりあえすこっちと反対に…えっ?」
まだ呆然としてる助け出したばかりの男の手を、先に助けた方に預けようとしたら、男はなぜかあたしの手
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