監禁は犯罪です。
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箱は落下すること無く、もとのように収まった。あたしはほーっと胸をなで下ろす。箱が、大の大人一人が入っていると思えないぐらい軽かったのも幸いだった。
よかった。落ちなくて。とりあえずこの人、助けてあげないと。
「…聞こえる?」
一連の流れで無表情が剥がれ落ち、驚いた顔をしているその人の目線のところに自分の顔を持って行く。すると、その人の顔が怪訝なものになった。何かを呆然と呟く。音は聞こえない。ああ〜言葉を交わすのは無理かぁ。結構厚そうだもんなぁ、この箱…。というか顔を至近距離で見てわかったけどやたらキレイな顔してるなこの子。マツゲなっが。
なんて余計なことを考えていたら、いままでの無関心はどこに行ったんだという激しさで、箱の中の子がこちらに突進してきた。ダン!っと音が出そうなくらいである。当然箱の内壁に遮られる訳だけれども、それでも勢いは衰えない。中で何かを必死に叫んでいるけど、あたしには全く聞こえない。とりあえず「助けてくれ」ってことだろうと勝手に解釈する。そうだよね…こんな箱の中に閉じ込められていたらそれは辛いよ…はやく出してあげなきゃ。
とりあえず、どうしよう…叩き壊す?
くるりと箱の四方から覗いてみたが鍵穴などはないようだった。完全に密接されている。いや、中の彼が意識を保っているのを見ると、どこかに空気穴ぐらいはあるんだろうけど…。
音を出したら外の人に気がつかれてしまうかも知れない。そしたらこの人だけじゃ無く隣の人も助けられなくなる。慎重に、でも確実に助けるんだ…。さっきのこの人の無機質な瞳を見てしまったら、このまま見なかったことに何て絶対できない。
落として壊すのは、音が出るからダメ。何かでたたき壊すのも、音が出る…どうしよう!鍵穴もないし、中から開けられるもんならとっくに開けてるだろうから内側からどうにかして貰うのもダメ。としたら…どうすればいい?
霊力?
ふと思いついた事に、いやいやと自分で蓋をする。
あたしには霊力は無いんですよ。あの男達が探しているのはあたしじゃないはずだし。
しかしその時ピーンと閃いた!
玲瓏だ!
何を隠そう、あたしは前田家の麗しき総領姫なんだけど、その前田を守護する神様から貰った剣があったのを思い出したのだ!なにせその剣玲瓏は多分この世に斬れぬものなどない刃!…っぽいし!多分!きっとこんな箱なんて一太刀でスパリよ。
「玲瓏!」
あたしは掌を空に突き出した。目の前の男の視線が怪訝なものから驚愕に変わる。虚空にピーッと青白い線が引かれたかのように直刀の形をとり、それ
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